地球温暖化とは?原因・影響と私たちにできること

  • エネルギーと環境問題

近年、SDGsの浸透により環境問題が注目されています。最も有名な環境問題は地球温暖化ではないでしょうか。様々な分野で注目されている地球温暖化は、一般の私たちでも一度は耳にしたことある言葉です。

しかし、実際に地球温暖化について詳しく知る人は多くありません。この記事では地球温暖化について知りたい人に対して、原因や影響、日本や世界の状況、私たちができる地球温暖化対策などを解説いたします。

地球温暖化とは

CO2(二酸化炭素)やフロンガス、メタン、一酸化二窒素などの温室効果ガスにより、地球全体の平均気温が長期間にわたって上昇する現象を地球温暖化といいます。もともと地球には温室効果ガスが存在しています。しかし、近年は人間の活動によって増加しており、濃度が上昇しているのです。

地球温暖化の原因

地球温暖化の原因は温室効果ガスです。温室効果ガスは、大気中で熱を閉じ込める性質を持ち、それにより地球の表面温度が適度に維持されています。その結果、生物が生きていくために必要な気候条件が保たれているのです。温室効果ガスはさまざまな気体から生まれていますが、最も地球温暖化に影響している気体として知られているのがCO2です。

CO2は特に人為的活動による排気量が多く、排出原因は化学燃料由来と森林破壊・減少や土地利用によるものに分かれています。つまり、火力発電所やセメントの生産時などの私たち人間の活動によって多くのCO2が排出されるだけではなく、森林破壊・減少によってCO2が酸素に代わる量も減少しているのです。

地球温暖化による影響

環境問題

多くの環境問題には地球温暖化が関係していると考えられています。

 

・気候変動

もともと気候は自然要因により変化し続けています。この自然要因はそれぞれが密接に影響しあっており、大気や水の循環に関わっています。しかし、自然要因以外にも気候変動に関連する要因があります。それは、人間の活動による人為的要因です。環境を配慮せず行われる経済活動や森林伐採が温室効果ガスの増加を招き、気候の状況は少しずつ確実に狂わされています。

詳しくはこちらのページで解説しています。

 

・異常気象             

異常気象は30年に一度起こる程度の気象のことを言います。長期的なものもあれば、局所的なものもあり種類は様々です。例えば大雨やハリケーン、熱波や寒波などです。これらは地球温暖化が起こるよりも前から発生していましたが、地球温暖化が進むと同時に発生回数が増えており、威力も増していると言われています。

詳しくはこちらのページで解説しています。

 

・海水温上昇、海面上昇

温度が上昇しているのは大気だけではありません。海水の温度も上がっているのです。また、海水温だけではなく、海面も上昇しています。このままのペースで地球温暖化が進んでいくと、約60年後には0.26~0.82m上がると言われています。

地球温暖化による世界の変化

感染症の拡大

地球温暖化による気候変動により、蚊やネズミなどのウイルスを運ぶ媒体動物が増加し、感染症にかかる可能性が増えています。

特に蚊は“世界で最も人類の命を奪っている”とすら言われています。例えば、環境省による予測では、温暖化の進行に伴い、蚊を媒体とした感染症が増加する見込み※1です。具体的には日本脳炎やマラリア、デング熱、ウェストナイル熱、リフトバレー熱等があります。これらの病原菌を運ぶ蚊にとって、地球温暖化が進み温かいエリアが増えることは、繁殖しやすい環境が増えることを意味するのです。

また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、今後100年間のうちに地球の気温は3~5度上昇する見込みで、それに伴ってマラリアの年間感染者数が5000~8000万人上昇すると予測※されています。

 

※1出典 環境省

※2出典 内閣府

水害、ハリケーン等

異常気象が起こるたび、温暖化により被害も大きくなりつつあるという見方もあります。

地球温暖化の進行に伴う気温上昇の影響で、海からの蒸発量が増え今より多い水蒸気が大気中に蓄えられます。その結果、海洋の上で発生する低気圧である熱帯低気圧(ハリケーン、サイクロン、台風)は、強力なものに発達しやすくなるのです。

その結果、局所的な大雨による水害や過去に見ないほどの勢力をもったハリケーンなどが発生してしまうと考えられており、これらの異常気象は人間の生死にかかわることはもちろんのこと、経済にも大きな打撃を与えます。

国土消失の危機

海面上昇により、海抜の低い島国で高潮による被害が深刻になってきています。国土が小さくなるのはもちろんのこと、それ以外にも海水が畑に流れ込み作物が育たなくなったり、飲み水がなくなったりしているのです。これらの島国は発展途上国であるため、CO2 の排出量は多くありません。つまり、国土消失の危機にさらされていない先進国がこの深刻な問題を作っているのです。

 

地球温暖化の海面上昇の影響により「最初に海に沈む可能性が高い」と言われている『ツバル』。

2021年に開催されたCOP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、サイモン・コフェ外務大臣が、膝まで海に浸かった状態でスピーチを行いました。「私たちは気候変動と海面上昇の現実の中で生きています」とスピーチで述べ、気候変動・海面上昇がツバルにとって大きな脅威であると主張しました。

このように、地球温暖化による影響は既に世界各国で起きています。

日本の変化

それでは日本ではどのような変化がみられるのでしょうか。

熱中症の増加

地球温暖化による、気温の上昇は人間の健康面にも大きな影響を与えます。

近年、暑い日が増えているのは皆さんも感じているのではないでしょうか。それに伴い、現在でも増加傾向にある熱中症患者数は、地球温暖化が進むのと比例していくのは目に見えています。

2100年末に予測される日本では、さらに真夏日が増加するとされています※。最悪の結果、現在と比べて全国では平均52.8日増加すると、環境省・気象庁は報告しています。

 

出典 全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)

土砂災害、水害の増加

近年、豪雨の増加傾向がみられます。この豪雨によって、土砂災害や水害の過激さ、形態の変化が起きています。令和元年に起きた房総半島台風や東日本台風は記憶に新しいところです。

研究グループによる21世紀末頃を想定した温暖化予測実験によると、非常に強い台風の出現数は増加する傾向※があり、これらは温暖化が影響している可能性が高いとしています。強い台風が増加することで、災害が全体として激化してしまいます。

 

出典 国土交通省

水産資源の変化

海水温上昇は水産資源に対して大きな影響を与えています。魚は種類によって、適している海水の温度が異なります。水温が上がることで、今まで収穫できた魚がいなくなってしまったり、魚が病気になる菌が増えてしまったりするのです。

実際、今まで収穫できていたエリアではなく北上したエリアで収穫できるようになった魚も出てきています。水産庁によると、元々九州などで漁獲量が多いブリが、北海道で増加しているそうです。また、養殖においては、ホタテガイの大量斃(へい)死が発生したり(陸奥湾/青森県)、カキの斃死率の上昇(広島湾/広島県)、海苔の生産量の減少(有明海/九州)等が報告されたりしているそうです※。影響の中には養殖できる地域が増えたりしているなど、一見プラスに見える面も存在しますが、長い視野でみると悪い影響がほとんどです。

 

出典 水産庁

地球温暖化の対策

地球温暖化の対策としてよく上げられるのは、適応策と緩和策です。

適応策

温暖化の影響を小さくするために、行うのが適応策です。地球温暖化の危害に耐える力をつけること、危害を回避することの二つを柱としています。

危害に耐える力をつけることで言うと、水害対策として河川、砂防、下水道などの整備をしたり、熱中症対策として水分や塩分補給をしたりすることです。危害を回避することでは、災害リスクの高い地域を提示や警戒情報で早めに避難すること、熱中症にはエアコンやクールスポットを設置することなどが例として挙げられます。

どちらも、地域の特性や自分に合った適応策を考えることが重要です。

緩和策

緩和策は温室効果ガス(主にCO2)の排出削減と吸収を主軸としています。

温暖化を1.5℃~2℃に抑えるには、温室効果ガスの排出量を大きく減らさないといけません。そのために、国として脱炭素な社会へむけて様々な取り組みをしています。例えば、太陽光発電、風力発電、バイオマスなどの再生可能エネルギーを推進することや、省エネ機器・省エネ行動の奨励、建物や交通の省エネ化、森林整備や都市緑化などです。

わたしたちにできること

地球温暖化を防ぐためにできることは、私たちもあります。どのようなことができるのでしょうか。

交通手段の変更

自転車、徒歩、公共交通機関など、より環境に優しい交通手段を使用することで、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出量を減らすことができます。

食生活の見直し

畜産業では、多くの温室効果ガスを排出していることをご存じでしょうか?

お肉を減らすことで、温室効果ガスを削減することができます。大豆などから作られた代替肉を食べることもおすすめです。

電気使用量の削減

家庭で使われるエネルギーの大部分は化石燃料によって供給されています。そのため、節電をすることは温暖化を防ぐために非常に有効です。こまめに電気を消すことはすぐにできるアクションです!

他にもエネルギー効率の高い家電製品を使用してみたり、風力発電機や太陽光パネルを取り付けて、家庭で使う電力を再生可能エネルギーにしてみたりなどが挙げられます。

家庭内で太陽光パネルを設置した際のメリット・デメリットについてはこちら

 

 

以上が地球温暖化に関しての説明でした。

これらは地球温暖化に関しての知識のほんの一部です。もっと知識を深め、身の回りでできる地球温暖化対策が他にもないかを考えてみましょう。