【わかりやすい】ゴミ問題の原因とは?現状とその対策

  • エネルギーと環境問題

最近よく耳にするゴミ問題。身近にあるものですが、実はよく理解していない方も多いのではないでしょうか。今回は、ゴミ問題の原因や現状、対策まで紹介します。

ゴミ問題とは

ゴミ問題って何?

ゴミ問題と言われると、とても抽象的でどこからどこまでがゴミ問題といわれるのかよく分からないですよね。簡単に説明をすると、一般ゴミや産業ゴミ・災害ゴミに関する問題・不法投棄による環境汚染の問題・焼却や埋め立てが追い付かない問題・ゴミ処分場の新増設に伴う近隣住民の反対などの問題を総称して、「ゴミ問題」と言われています。

なぜこうなった?ゴミ問題の原因

日本では古くから、何でも直して使ったり、再利用したりするリサイクル社会でした。では、どうして今ゴミについて問題視されているのでしょうか。技術が発達し、便利な時代になった分、耐久消費財の頻繁な買い替え、過剰包装、使い捨て商品の増加、生活雑貨など安価に入手可能になった故にモノを大切にしなくなったなどが原因として挙げられます。また、食品ロスも増えています。食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。

ゴミ問題の現状

日本では

2020年3月に発表された、2018年度のゴミ総排出量は年間4,272トンにものぼります。東京ドームに例えると約115杯分もの量を廃棄していることになります。あくまでもこの数字は一般廃棄物の量ですので、産業廃棄物も含めるともっと多くの量のゴミを廃棄していることになります。また、食品ロスは年間約612トンにものぼり、国民1人当たりに換算するとお茶碗約1杯分の食べ物を毎日捨てている計算になります。すごくもったいないですよね。一方、世界ではどのくらいゴミが排出されているのでしょうか。

世界では

イギリスの会社が2019年に調査した結果、世界では毎年21億トンを超えるゴミが排出されていて、その中でもリサイクルされているのはわずか16%しかないことが分かったそうです。また、食品ロスの量は13憶トンにものぼります。さて、ゴミが増えることによって、どのような影響が起こるのでしょうか。

ゴミ問題による影響

ゴミ問題によってさまざまな悪影響が及ぼされます。

・埋立地の不足

家庭から排出される粗大ゴミや不燃ゴミは粉々にしたあと、鉄やアルミなどが回収されます。回収したあと、残ったものを「不燃破砕残渣(ふねんはさいざんさ)」と呼びます。また、ゴミが燃えた後に燃え残った灰(焼却灰)と発生した排ガスが冷えたときに発生する灰(飛灰)を「焼却残渣」と呼んでいます。これらの残渣たちは最終処分場へ埋め立てられていますが、その最終処分場にも限りがあります。2020年3月に発表された最終処分場の残余年数は21.6年といわれています。このままのペースでゴミを破棄し続けていると、約22年後にはゴミを埋め立てる場所がなくなってしまうということです。

・地球環境の悪化

焼却炉でゴミを燃やした際に温室効果ガスである二酸化炭素が発生することによって、地球温暖化が進んでしまいます。地球温暖化が進むと、人間だけではなく動植物にも大きな悪影響を及ぼします。また、ポイ捨てやゴミの不法投棄によって、山や海などの環境も破壊されてしまいます。実際に日本の川に不法投棄されたものが、外国の海岸へ流れ着くといった事例も報告されています。

それでは、日本ではどのような対策がとられているのでしょうか。

ゴミ問題の対策

日本ではゴミ処理に関する様々な法律が制定されています。

日本の法律

  • 循環型社会形成推進基本法

社会の物質循環の確保や天然資源の消費の抑制、環境負荷の低減など

  • 廃棄物処理法

廃棄物の適正処理など

  • 資源有効活用促進法

再生利用の推進など

その他にも、個別物品の特性に応じた規制があります。

  • 容器包装リサイクル法(ビン、ペットボトル、紙製、プラスチック製、容器包装等)
  • 家電リサイクル法(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機)
  • 食品リサイクル法(食品残渣)
  • 建設リサイクル法(木材、コンクリート、アスファルト)
  • 自動車リサイクル法(自動車)
  • 小型家電リサイクル法(小型電子機器等)

日本ではかつて、使い捨て製品の普及により深刻なゴミ問題を引き起こしていました。そのため循環型経済を目標として掲げ、3Rの推進等により、2000年時点と比べ、資源生産性は約6割向上、最終処分量は約7割削減しています。

3Rとは?

3RとはReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つの総称です。

Reduce(リデュース)

耐久性の高い製品の提供や製品寿命延長のためのメンテナンス体制の工夫など、製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすることです。

Reuse(リユース)

使用済製品やその部品等を繰り返し使用することです。その実現を可能とする製品の提供、修理・診断技術の開発、リマニュファクチャリング(使用済み製品の再生)などのことです。

Recycle(リサイクル)

廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること。その実現を可能とする製品設計、使用済製品の回収、リサイクル技術・装置の開発なども取組のひとつです。

身近にできること

日常の中で簡単にできることはたくさんあります。例えば、本当に必要なものだけ購入することや食べられる量だけ注文するなど。それだけで、破棄する量も減りますし、生産過程で生まれるゴミも減らすことができます。普段の生活の中で、少しゴミについて意識を向けてみましょう。