【簡単に解説】海洋汚染の原因とわたしたちにできる対策

  • エネルギーと環境問題

みなさんは海洋汚染という言葉を聞いたことはありますか?世界的に大きな環境問題のひとつです。この記事では海洋汚染の原因とわたしたちにできる対策を簡単に解説します。

これから先、いつまでも綺麗な海を保てるように、正しい知識を身につけて一緒に海を守っていきましょう。

海洋汚染とは

有害物質やゴミによって海が汚されてしまうことを「海洋汚染」といいます。

ただ海が汚れるだけでなく、海洋生物の生態系が崩れてしまったり、有害物質の影響を受けた海産物を食すことで人体に直接影響が出たりと、さまざまな問題があります。

SDGsの目標でも「14.海の豊かさを守ろう」として取り上げられているため、海洋汚染の改善は世界中の課題として認識されています。

家庭排水やプラスチックゴミなどのわたしたちひとりひとりの行動が海洋汚染の原因です。どういった行動が海洋汚染に繋がってしまうのかを知り、対策をすることが大切です。

海洋汚染の原因

様々な原因があります。どういったことが海洋汚染の原因となっているのでしょうか。

工場や家庭からの排水

排水での汚染といわれると、工場から出る有害物質を含んだ排水をイメージする方が多いのではないでしょうか?1960年代頃には工場から出る産業排水をそのまま川に放流しており、水俣病などさまざまな公害病が起こり社会問題となりました。

その結果、1970年(昭和45年)に「水質汚濁防止法」が制定されました。それによって、人体の健康を害するおそれのある物質を含む排水は規制され、ほとんどの業種で排水基準が適用されています。

しかし、家庭から出る生活排水※は、法律では努力義務とされているため、対策の決定打にはなりかねません。世界で見ても、生活排水の約9割が未処理のまま放流されており、特に途上国では排水処理率がとても低いのが現状です。

 

※台所、トイレ、お風呂、洗濯など日常生活から出る排水

プラスチックゴミ

プラスチックは加工しやすく丈夫なため、世界中でたくさんの製品に使われています。しかし、生ごみなどと異なり人工的に合成された樹脂なので、微生物などに分解されてなくなることはありません。このままだと、2050年には海に住む魚の数よりもプラスチックゴミの数が多くなるともいわれています。

ポイ捨てされてしまったレジ袋やペットボトルなどはやがて雨や風によって海まで運ばれ、海中を漂います。そのプラスチックゴミを誤飲してしまい、死に至る海洋生物も多くいます。また、プラスチックゴミは長期間自然環境にさらされることによって劣化し、破片となって海中を漂います。その小さくなった破片(5㎜以下のものをマイクロプラスチックと呼ぶ)を魚が餌と間違えて食べてしまい、その魚を収穫し食べることによってわたしたちも知らず知らずのうちにプラスチックゴミを食べてしまっている可能性もあります。

 

現在、日本を含めて世界中でプラスチック製品を減らす取り組みが行われています。私たちが利用するプラスチックを減らすことが海洋汚染を防ぐことに繋がります。

船舶からの汚染

海上保安庁の調査によると、令和2年1月1日~12月31日までの間の海洋汚染確認件数は451件で、うち油による海洋汚染は286件(63%)、廃棄物による海洋汚染が158件(35%)だったそうです。前年より21件増えてしまったとのこと。

油による海洋汚染確認件数のうち、船舶からの排出が167件(58%)で、排出原因で最も件数が多かったのは船舶海難(船舶事故)、次いで不適切なタンク計測やバルブ操作などの作業中における取扱不注意。

 

船舶の衝突や乗揚げ、沈没などが起こると、事故に伴い油や有害液体物質が海へ流出してしまいます。流出してしまった油は、一部蒸発しますが、蒸発しなかった残りは拡散されながら固まり、浮遊タールボールと呼ばれる黒い塊になります。油の流出は海洋生物への大きなダメージに繋がります。

海洋汚染によって起こる問題

海岸の汚れ

みなさんは海岸に大量のゴミが流れ着いている写真を一度は目にしたことがあると思います。

海へ流れ出たゴミは海岸へ漂着してしまうものも非常に多いです。そうなると海岸にゴミが溜まり、景観に悪影響を与えます。さらに、海辺に住む生物はゴミとエサの区別ができず、誤って誤飲・誤食してしまい死んでしまう可能性もあります。誤飲だけではなく、好奇心でゴミに近づいて身体に引っかかりケガをしてしまったり、そのままとれなくなったゴミが原因で死に至ったりしてしまうこともあります。

生態系破壊

工場や家庭から流れ出た排水によって海が汚染されると、ヘドロが堆積してしまったり、冨栄養化によって赤潮や青潮が発生してしまったりします。

赤潮・青潮とは、プランクトンが大量に発生し、海の色が変わってしまう現象です。プランクトンが大量に発生すると、プランクトンが大量に海中の酸素を消費するため、海中の酸素が足りなくなり、魚たちが死んでしまいます。また、船舶から流出してしまった油や有害物質によって海洋生物や海岸植物、海辺の生き物たちが汚染し、死滅しまうことがあります。一度生態系が壊れてしまうと元通りまで回復することは非常に困難です。

海洋汚染が原因で絶滅危惧種になるまで個体数を減らした海洋動物も多いと言われています。

人体にも影響

マイクロプラスチックは海中を漂いながら様々な有害物質を吸着しています。マイクロプラスチックを食べた魚をわたしたちが食べることによって、間接的に有害物質を摂取することになり、人体に悪影響を与えることが懸念されています。また、流出してしまった油には有害物質が含まれており、引火し爆発してしまう二次災害の可能性や、揮発した物質によって健康被害が起こる可能性もあります。

わたしたちにできること

海洋汚染といわれると、規模が大きく何をしたらいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。実は私たちにできることもたくさんあります!

日常生活で身近にできる対策の具体的な例を箇条書きにしてみたので、ぜひ皆さんも今日から実践してみてください。

~キッチンでできること~

・汚れた食器類は汚れをふき取ってから洗う

(そうすることによって洗剤の量も少しで済みます)

・三角コーナーを用意し、調理くずを流さない

・カップ麺の汁などをなるべく流さないようにする

・調理に使った油は流さず新聞紙などに染み込ませ家庭ごみとして捨てる

~お風呂や洗濯時にできること~

・お風呂の残り湯を洗濯に利用する

・洗剤、シャンプーやリンスは適量を使用する

・洗濯機にゴミ取りネットをつける

・洋服の部分洗いを取り入れ効果的に洗う

~ちょっとした心がけでできること~

・使い捨てプラスチック製品の使用を控える

・マイバックを持参する

・マイ箸、マイカップを用意する

・過剰包装商品の購入を控える

・ゴミのポイ捨てをしない

・海岸や河川敷の清掃活動に参加する

綺麗な海を守るために

海洋汚染は世界的に深刻な問題です。わたしたちにできることはたくさんあり、どれも難しいことではないので、日々の生活の中に取り入れてみませんか?

あなたの行動で、人や野生動物、そして地球の未来が変わります。