気候変動とは?原因、緩和と適応

  • エネルギーと環境問題

気候変動とはさまざまな原因によって、気温や天気が変わることです。短い期間で変化するものもあれば、長い期間をかけて変化するものもあります。環境問題と密接に関わる気候変動ですが、どんなことが起こっているのか具体的には知らない方が多いのではないでしょうか。

今回は気候変動の概要や原因、対策を説明します。

気候変動とは

気候変動とはさまざまな要因によって、気温や天気が変わることです。短い期間で変化するものもあれば、長い期間をかけて変化するものもあります。気候変動というと環境問題を連想しがちですが、大気や火山、海洋変動によっておこる気温や天気の変化も気候変動に含まれます。

気候変動は、地球上のあらゆる国や地域に影響を与える問題であり、世界的な課題として取り組まれています。国際的な枠組みである「気候変動枠組条約(UNFCCC)」が採択され、各国が地球温暖化防止のために取り組むべき施策を定めています。気候変動を理解するには、気候システムについて理解する必要があります。

気候システムとは

気候は地球上の大気や水の循環と関係し、これらは海洋、陸面、雪氷が深く関わっています。このように、大気と海洋、陸面、雪氷(降雪や氷山など)を、相互に関連する一つのシステムと捉え「気候システム」と呼んでいます。

気候システムは、さまざまな要因によって変化します。たとえば、太陽放射量、火山噴火、温室効果ガスの濃度、陸地利用の変化、化石燃料の燃焼などです。

原因

気候変動はどうして起こっているのでしょうか?2つの要因を説明します。

自然要因

自然要因は、地球自身の変化や太陽活動、火山活動、気候内部の自然循環などが含まれます。具体的な要因としては以下のようなものがあります。

 

・地球軌道の変化:地球は、太陽の周りを公転していますが、その軌道は変化しており、ほぼ完全な円から楕円になり、また元に戻るという変化を約10万年周期で繰り返しています。このように地球の公転軌道や自転軸の傾きが変化することにより、太陽からの放射線の入射角度や季節変化が変化し、気候に影響を与えるのです。

参考 独立行政法人海洋研究開発機構

 

・太陽活動の変化:太陽活動周期の変動は地球全体の温度を約 0.1℃変化させるそうです。太陽活動極大期には若干暑く、太陽活動極小期には若干寒くなります。このように太陽活動の周期的な変化により、太陽からの放射線量が変化した場合、気候に影響を与えることがあります。

参考 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

 

・火山活動:火山が噴火すると、大量の二酸化硫黄や塵などを大気中に放出します。これらの物質が大気中に存在することにより、気温を下げる影響があります。

 

・気候内部の自然循環:地球の気候は、海流や風、気圧の変化などによる自然循環によって規定されます。これらの自然循環が変化することにより、気候に影響を与えることがあります。

 

ただし、近年の気候変動の急速な進行は、次に説明する人為的要因によるものと考えられています。

人為的要因

気候変動の人為的要因は、大きく分けて2つあります。

 

・温室効果ガスの排出:温室効果ガスとは、二酸化炭素、メタン、一酸化窒素などの気体で、大気中に存在すると太陽からの放射線を吸収し、地球を温暖化させる作用があります。化石燃料の燃焼、農業、畜産、廃棄物の処理などの人為的活動により大気中に排出されています。温室効果ガスは地球を取り囲んでおり、その働きで地球の温度は14度前後に保たれています。もし、温室効果ガスがなくなってしまうと、地球の温度はマイナス19度まで下がってしまうといわれています。このように私たちが生命を維持するには必須のものですが、近年では増えすぎており、地球全体の温度が上がってしまう地球温暖化は、世界的な問題となっています。

 

地表面の変化:森林伐採、都市開発、農地の転換などにより、地表面が変化することによって、地球のエネルギーバランスが変化し、気候に影響を与えます。

 

このような人為的要因が、近年の急速な気候変動の原因とされています。現在もこれらの要因の影響は詳しく研究されていて、今後の気候変動の影響を予測するために、気候モデルを開発中です。

気候モデルとは、地球の気候を数値的に表現するための数学的なモデルのこと。大気、海洋、陸地、氷雪、生物などの地球上のさまざまな要素の相互作用を表現し、長期的な気候変化を再現することが可能です。様々な規模のモデルがあり、全球規模から地域規模まで、いろいろな予測が可能と言われています。

日本での影響

現在、日本においての気候変動の観測状況は以下の通りです。

  • 世界より速いペースでの気温上昇
  • 真夏日、猛暑日の日数増加
  • 強い雨の増加と降水日の減少
  • 多くの地域での積雪減少と、内陸部での大雪増加

出典 環境省

これらの気候変動により、様々な分野に影響が出ています。

農業、林業、水産業への影響

気温上昇により、米や野菜、果実が育ちにくくなり、品質や収穫数の減少がおきています。

また、サンマなどの魚が海面水温上昇により、南下のタイミングが遅れ、水揚げされる魚の体重が減少する可能性も指摘されています。

自然生態系への影響

海面水温上昇により、藻類の衰退や減少があらわれています。藻類は水産生物の産卵場や餌場などにもなるため、水産生物の衰退にも直接影響してくるといわれています。

健康への影響

気温上昇や猛暑日が増えたことにより、熱中症の患者数が増加しています。このままのペースで気温上昇が進めば、数十年後の熱中症搬送者数は全国的に増加し、東日本では二倍の数になるといわれています。

対策、緩和と適応

気候変動の対策は大きく分けて二つあります。一つは緩和、もう一つは適応です。

緩和とは

緩和とは人間による気候変動への影響を抑えることによって気温上昇などの意向変動のスピードを和らげるための取り組みです。IPCCでは温室効果ガスの排出削減と吸収源の対策を中心に、省エネルギー対策、再生可能エネルギーの普及拡大、CO2の吸収源対策、CO2の回収・貯蓄などを具体例としてあげています。

気候変動に対する対策は、国際的な協力が必要であり、政府、企業、個人、社会全体で取り組むことが求められています。

適応とは

適応とはすでに起こっている気候変動の影響に対して、防止や軽減を行い、人がこの環境に慣れるための取り組みです。IPCCでは影響への備えと新しい気候条件の利用を中心に渇水対策、治水対策、洪水危機管理、熱中症予防、感染症対策、農作物の高温障害対策、生態系の保全などを具体例としてあげています。

 

先ほど述べたように私たちの身近にも、様々な問題が気候変動により起きています。人間の影響である地球温暖化の対策は生活の中で取り組めるものがたくさんあります。また、それにあわせて、この気候変動に慣れていくことも大切なことです。正しい認識を持ったうえで、日々の生活でできることを考えてみましょう。