【知っておくべき】SDGsの基本

  • エネルギーと環境問題

ニュースや街中、会社のサイトなど、いろんなところで見られるようになったカラフルなロゴ。徐々に浸透し始めている「SDGs」。なぜこんなにも見かけることが多くなったのか。このロゴは何を示しているのか、「SDGs」が生まれた経緯まで解説します。

聞いたことはある?SDGsってなんのこと?

「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を略して「SDGs(エスディージーズ)」。2015年9月の国連サミットで採択され、よりよい世界、よりよい未来を目指すため生まれました。「誰一人取り残さない」という理念を掲げ、発展途上国・先進国にかかわらず、すべての人が取り組むべき国際目標です。

持続可能な開発目標とは

「将来世代のニーズを満たす能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発」と定義づけられています。今を過ごしやすくするだけでなく、将来まで見据えた開発を行う、ということです。

そのためには、「経済成長」「社会的包括」「環境保護」の三面でバランスを取ることが不可欠となってきます。

世界を見渡してみると、貧困やジェンダーによる差別といった不平等はまだまだ多く存在します。突然の豪雨や気温変動などの異常気象から、環境問題を日常で感じる方も多いのではないでしょうか。天然資源の減少や失業者の懸念など、社会的問題から環境問題、解決すべき問題は山積みとなっています。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」によると、「これらの目標とターゲットにおいて、我々は最高に野心的かつ変革的なビジョンを設定している」と述べ、目指すべき世界像を記述しています。人の平等な権利を確立し、経済成長を促す。ただし、人の利益ばかりを求めずに環境の保護を行い、持続可能である世界を目指すといった内容です。

5つのPと17の開発目標

では、ここからはロゴが何を示しているのかを見てみましょう。

持続可能な開発を実現するために、「17の目標」と「169のターゲット」が設定されています。それらを「5つのP」の分野で当てはめると以下の通りになります。

People(人間):貧困に終止符を打ち健康を

Prosperity(豊かさ):自然と調和した、持続する経済を

Planet(地球):自然と共存して地球の環境を守り育てる

Peace(平和):平和で公正ですべての人を受け入れられる世界を

Partnership(パートナーシップ):みんなが協力しあう正解を

17の目標をすべて覚えるのが大変という方には、この「5つのP」を覚えることによって、大まかな理解ができるのではないでしょうか。

「5つのP」や「17の目標」ではイメージが湧かないという方には、「169のターゲット」を見てみることをおすすめします。「169のターゲット」では各目標に対してより詳しく表記されています。

例えば、「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標に対して、「7.1:2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する」といったように、具体的にどのような状態になっていることを言うのか明記されています。

SDGs採択までの流れと重要性

MDGsを発展させたSDGs

SDGsはミレニアム開発目標(MDGs)が基となっています。

MDGsは「Millennium Development Goals」の略で、2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで採択されました。2015年までの期限を設けた8つの目標と21のターゲットで構成され、SDGsの17の目標と169のターゲットに対してとてもシンプルな内容でした。

しかし、発展途上国に対しての目標で構成されており、先進国が主導で決定したため発展途上国の意見の反映が薄いことが反省点となったのです。

その反省を踏まえつつ、SDGsでは先進国を含めたすべての国々を対象とした目標を掲げました。そして、MDGsで達成できなかった目標に取り組みつつ、今の社会情勢を加味し、より広範囲な目標となったのです。

SDGs達成のカギを握るESG投資とは

MDGsは、前述したように、先進国に対する目標であったため、政府開発援助(ODA)などが中心となり、民間企業が大きく関心を寄せて行動を起こす、ということは多くはありませんでした。

しかし、企業の民間投資額はODAの額をしのぐようになり、民間企業との連携が不可欠と考えられるようになりました。

2006年4月に、国際連合が機関投資家に対して責任投資原則(PRI)を発表しました。投資先として、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の3要素の観点を持った活動を行う企業を選定するように求めたのです。PRIに法的拘束力はありませんが、多くの国々が署名をしており、財務情報だけでなく非財務情報を考慮して投資を行う「ESG投資」は注目を浴びることとなっています。

企業がESGを意識して活動を行うことによって、新たな顧客や取引先を開拓できるというビジネスチャンスとなり、さらにSDGsの目標達成に貢献できるのです。

SDGs達成に向けてどう取り組むのか

ここまでSDGsの内容や重要性について簡単に述べてきましたが、実際どう取り組むのかイメージがつかない、という方も多いかと思います。

ここからは、SDGs達成のためにできることを考えるヒントにしていただければと思います。

悩める企業にSDGs Compass

前述したように、企業にとってSDGsは重要な存在となっています。

どうSDGsと経営戦略を掛け合わせるのか。どうSDGsへの貢献度を表すのか。どこから導入するか悩む企業も少なくないと思います。

そこで役立つのが「SDGs Compass」です。持続可能性を企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識を提供するものとして開発されました。

企業の行動指針となる「SDGs Compass」5つのステップで分けられています。

  • STEP1  SDGsを理解する
  • STEP2 優先課題を決定する
  • STEP3 目標を設定する
  • STEP4 経営へ統合する
  • STEP5 報告とコミュニケーションを行う

この「SDGs Compass」は多くの企業で取り入れられており、行動指針をたてるための基本的なツールとなっています。

企業だけじゃない。わたしたちにできること。

ここまで企業との関連性をお話してきましたが、冒頭で記述したように、企業だけが取り組むべき目標ではありません。わたしたちが普段から意識をすることによって、目標達成に貢献できるのです。

例えば、レジ袋。少し前までは、買い物に行けば何も言わずとももらえていたレジ袋ですが、2020年7月1日から全国でレジ袋有料化がスタートします。できるだけエコバック等を使うことで、海洋プラスチック問題や、地球温暖化などといった課題解決に繋がっていきます。

ちょっと節電に気を使ったり、ごみを減らす意識をもったり、、、。私たちが生活している中でできることはたくさんあります。小さなことでも、みんなでやれば大きな力となります。

すべての国々のすべての人が、よい未来を迎えるために、できることを探しみてはいかがでしょうか。