今も進んでいる森林破壊とは?原因と影響

  • エネルギーと環境問題

皆さんは、心が疲れているとき、自然に癒されたくなりませんか?

森林浴という言葉があるように、自然は私たちに対してたくさんの恩恵を与えてくれています。しかし、そんな森林が世界的に失われつつあることを皆さんはご存じでしょうか。

今回は森林破壊の説明や原因、影響、対策を解説します。

森林破壊とは

森林破壊とは、人間の都合や行動によって、地球上にある豊かな森や林などがなくなってしまうことです。森林は野生生物だけではなく、地球環境にとっても非常に大切な存在です。しかし、そんな大切な存在である森林が、日々私たち人間の手によって減少や劣化し続けています。

原因は何?

森林破壊の原因は主に人間の身勝手な行動によるものがほとんど。

その中でも特に大きな原因となっているのは下記のようなものです。

土地利用の転換・開発

世界の人口は2050年には97億人に達すると予測されています。人口の増加に伴い、住まいやエネルギー、食糧を作るための施設がたくさん必要になりました。そのため、人間は森林を伐採し別の用途に使う土地を増やしていったのです。

たとえば、世界で最も利用されている植物油である「パーム油」。今やスーパーに並ぶ商品の半分以上に使われていると言われているほど、さまざまな商品に使われています。パーム油の原料はアブラヤシと呼ばれる植物です。アブラヤシは熱帯地域でしか栽培できないため、東南アジアでは森林を伐採しアブラヤシを作るようになりました。パーム油最大の生産地であるスマトラ島は、アブラヤシ農園を作るために森を切り開き、今では半分以下まで森林が減ってしまったと言われています。

このように私たちの生活を豊かにしている製品の生産のために、森林破壊が今も行われているのです。

違法伐採(過剰な摂取)

違法伐採は、国ごとに定められた法令を守らず行われる伐採です。具体的には、許可された量や面積、区域を越えた伐採や、盗伐という所有権や伐採権のない森林を伐採する行為等です。

外務省によると全世界の森林伐採の15%~30%が違法伐採と言われています。

違法伐採は森林破壊を助長するだけでなく、正当に伐採された木材よりもコストが安くなる傾向があるため、結果として市場価格全体を下げてしまいます。市場価格が下がると、林業で生計を立てている人の生活が苦しくなり、持続可能な林業の阻害へ繋がります。

焼畑農業

焼畑農業は古代より世界的に行われてきた農法で、森林を焼き払い、その灰を肥料にして農業に使用します。東南アジアやアフリカ等で多く行われており、トウモロコシやタロイモなどさまざまな作物が育てられています。森林を焼き払った土地は、本来の自然が回復するまで使用せず、自然と調和した環境に優しい農法でした。しかし、移民などが食物を得るために自然のサイクルを無視して、森林が回復しないうちに農地として使ってしまうことが増加。それにより土地が劣化してしまい、草木が育たなくなってしまっています。

森林火災

焼畑農業や農地開発のための火入れの不始末などが原因で、森林火災になってしまうことがあります。森林火災は燃え広がってしまうと消火するのが難しく、その結果、広大な森林を失ってしまうことになります。2019年9月~2020年2月まで大規模な森林火災がオーストラリアで起こったことは記憶に新しいのではないでしょうか。

この火災の大きな要因の一つとして、降水量が減り空気が乾燥していて、かつ記録的な猛暑となったことが挙げられています。これらは地球温暖化の影響が大きいとされています。

地球環境への影響

森林破壊によって影響を受けるのは人間だけではありません。冒頭でも説明したように、森林は生物、地球環境にとって大きな役割を果たしています。代表例にあげられるのが、生物多様性の保全と気候変動の緩和です。

生物多様性の保全

森林は生物の住処となっています。そこには、一種類の生物だけではなく、多様な生物が食物連鎖という関係の中で生きています。この関係を生物多様性といいます。

森林と野生生物は切っても切れない関係であり、生物が生きていくのと同時に森林も育っていくのがサイクルとなっています。しかし、森林が減少してしまうと、そのバランスが崩れてしまい、絶滅に追いやられている生物も増加しています。また、植林などで森林を増やしたとしても、元あった環境には戻らず生態系は変化してしまいます。

気候変動の緩和

森林の木々は光合成によって二酸化炭素を酸素に変えてくれます。言い換えると、空気中の二酸化炭素の濃度を減らしてくれるのです。この二酸化炭素は地球温暖化を引き起こす原因の一つとされています。この地球温暖化は、気候変動の要因の一つとして考えられているため、森林を守ることによって気候変動を緩和させることができるのです。

日本と世界の現状について

では実際、森林破壊の現状はどのようになっているのでしょうか。

世界で起こっている森林破壊は?

1990年に測定した際、地球上にはおよそ41.3億ヘクタールの森林がありました。

これは地球にある陸の全面積の内、約31%です。しかし、2015年になると、およそ40億ヘクタールまで減少してしまいました。25年間で、約1.3億ヘクタールの森林が減少した計算になります。これは南アフリカの国土面積とほぼ同じで、いかに森林破壊が進んでいるかが分かります。

さらに環境省によると毎年520万ヘクタールの森林が減少しており、特にアフリカや南アメリカなどの熱帯地域の森林破壊が深刻です。

ただ、植林活動により、森林面積が増加している国も見られます。(中国、インド、ベトナム等)

日本で起こっている森林破壊は?

日本は国土の約7割が森林であるため、森林大国と呼ばれています。

日本ではここ50年間、森林の減少は見られていません。森林の面積はほぼ横ばい、むしろ資源として使える森林の量が増えているのです。しかし、だからといって日本が森林破壊と関係ないわけではありません。なぜなら、日本で使用している木材の7割は海外からの輸入によるものだからです。外国産の木材は価格が安い為、日本の森林は使用されず残っているのが現状です。

森林破壊の対策

日本には森林破壊の対策として、「グリーン購入法」という法律があります。

この法律は皆さんも一度は見たことある、「エコマーク」を策定した法律です。このマークは環境への負荷が少なく、環境保全に役立つ商品につけられています。厳しい審査基準があり、このマークを付けることによって、生産者と消費者、両方に環境を意識した選択をできるようになりました。この様な法律のほかにも、世界では違法伐採による木材を使わないなど、使う側の行動により、森林破壊の防止に努めているのです。

また、エコマークの他にも、森林を守るためにつけられている認証マークがたくさんあるので、気になる方はこちらから見てみてください。

身近でできる森林破壊対策

私たち、消費者が身近にできる森林破壊対策は自然保全につながる選択をすることです。

前述したように、消費者側が環境に優しい商品を選ぶことによって、環境に配慮しない商品は作られなくなっていきます。日頃、環境を気にせずに生活していた方も、これを機に環境に優しい選択を日々の生活に取り入れてみてください。

未来に豊かな森林を残すために、ほんの少しだけ生活を変えてみませんか?