オール電化のメリット・デメリットを紹介

  • 省エネ・節電のコツ

最近ではオール電化の賃貸物件や、持ち家をオール電化住宅にリフォームする人も増えています。何となく便利そう、節約できそうというイメージを抱いているかもしれませんが、具体的に暮らしがどう変わるのかはわからない人も多いかもしれません。まずはオール電化で何が変わるのか、どんなメリット・デメリットがあるのかを知っておきましょう。

オール電化住宅とは

オール電化住宅とは、調理、給湯、冷暖房など家庭内で用いるエネルギーをすべて電力でまかなう仕組みを備えた住宅のことです。ガスや石油は使用せず、「火を使わない安全でクリーンな住宅」として2000年代に入った頃から普及してきました。

オール電化住宅の設備を簡単に紹介

オール電化住宅にすると、調理、給湯、暖房設備は次のようになります。

  • 調理設備
    ガスコンロがIHクッキングヒーターになります。IHクッキングヒーターは電気の力で調理器具を発熱させる仕組みです。火を使わないため安全で、お手入れも簡単なのが特徴です。
  • 給湯設備
    ガス給湯器がエコキュートや電気温水器になります。エコキュートはヒートポンプにより、空気中の熱を利用してお湯を沸かす電気給湯器です。電気温水器は電気を使ってヒーターを熱し、そのヒーターでお湯を沸かす電気給湯器です。
  • 暖房設備
    石油ストーブやガスストーブ、ガスファンヒーターなどがエアコンや床暖房、蓄熱ヒーターになります。床暖房もヒートポンプ式と電気ヒーター式があります。ちなみに蓄熱ヒーターとは、夜間の安い電力を使って暖房機内のレンガを加熱し、レンガの放熱を利用して日中に室内を暖める暖房機です。

オール電化住宅のメリット

オール電化住宅にするとどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。代表的なメリットは次の3つです。

夜間の電気代が安くなる

大手電力会社のほとんどが夜間に電気料金が安くなるプランを用意しています。

その中でもオール電化向けの夜間割プランがあり、これを利用すると夜間の電気代が安くなります。例えば東京電力の「スマートライフプラン」などが代表です。ただし、夜間の料金が安くなるプランは、日中の電気料金が割高になる場合が多いので要注意です。エコキュートや蓄熱ヒーターを上手に利用して、夜間に電気を使うような工夫をする必要があります。

また、エコキュートと同時に太陽光発電システムを導入すると、日中の電気を自家発電でまかなうことができ、かなりお得になります。

災害時の復旧が早い

大地震などの災害時には電気だけでなく、ガスも水道も止まってしまうのが常です。これらのライフラインの中で最も早く復旧する確率が高いのは電気です。新潟中越沖地震でも、電気の復旧は地震発生の2日後だったのに対し、LPガスの復旧は1週間、都市ガス復旧は11日かかりました。東日本大震災でもやはり最も早く、広い範囲で復旧したのは電力でした。

火災やガス漏れによる事故のリスクが少ない

オール電化住宅では室内で火を使わないので火災のリスクが格段に低下します。小さな子どもや高齢者がいる家庭でも安心して利用できるのはメリットと言えるでしょう。また、火災リスクが少ないため火災保険の割引優遇を受けられることもあります。

さらに、ガス漏れによる事故も起きることはありません。一酸化炭素も発生しないため換気の必要性が軽減され、高気密高断熱住宅に適しています。

オール電化住宅のデメリット

一方、デメリットとしては以下のようなことが挙げられます。

設備の設置にコストがかかる

IHクッキングヒーター、エコキュートまたは電気温水器のいずれもガスコンロやガス給湯器と比べて高価です。現在、ガスを使っていて、IHクッキングヒーターとエコキュートを導入してオール電化住宅に乗り換えるには、おおよそですが60万円程度の初期費用が必要になります。

停電時の影響が大きい

電気が使えなくなると、オール電化住宅は通常の住宅よりも大きな影響を受けます。停電が起きれば住宅内の電化製品は一切使えなくなるため、とくに夏や冬は冷暖房が使用できないことで停電している間は不便を強いられるでしょう。

ただし、これは太陽光発電システムがあれば防ぐことができます。日中であれば太陽光発電で電力の供給を受けられ、蓄電池システムも併用していれば夜間も安心です。

オール電化住宅は導入コストがかかりますが、ランニングコストは安く、光熱費を管理しやすいので10年程度で元が取れると言われています。また太陽光発電システムと組み合わせればメリットを大きくすることも可能です。これらを参考に、オール電化の導入を検討してみてはいかがでしょうか。