停電時も使える! 太陽光発電の自立運転機能の使い方

  • 太陽光発電の基礎知識

光熱費の節約、売電による収入、温暖化防止への貢献。太陽光発電システムにはさまざまなメリットがありますが、意外と知られていないのがパワーコンディショナーに搭載されている「自立運転機能」です。停電の際に役立つこの機能の使い方と、その際の注意点についてまとめてみました。

太陽光発電は停電時も使える? 「自立運転機能」とは

突然の停電に見舞われた時、ご自宅に太陽光発電システムを設置していれば、「自立運転機能」によって電気を使うことができます。自立運転機能とは、ほとんどのパワーコンディショナーに備わっており、停電中でも太陽光パネルが発電した電気エネルギーを家庭内で使えるようにする機能のことです。

この機能を活用すれば、停電になったとしても自分や家族はもちろん、地域の方々の生活も支えることができるようになります。リスクに備えるための大切な機能、それが自立運転機能なのです。

「自立運転機能」を使うとどこまでの家電が使えるの?

「自立運転機能」があればすべての家電が使用できるというわけではありません。

通常、「自立運転機能」で使用できる電気は1,500Wまでです。そのため、1,500W以内の家電製品のみが使用できるということになります。

主な家電の消費電力は以下の通りです。メーカーや機種などによって差がありますが、参考にしてみてください。

家電 消費電力
冷蔵庫 100-300W
IHクッキングヒーター 1400-3000W
電子レンジ 500-1400W
炊飯器 100-300W
電気ポット 900-1400W
エアコン 300-3000W
洗濯機 200-400W
掃除機 850-1000W
アイロン 1200-1300W
ドライヤー 600-1200W
テレビ 300-500W
ノートPC 50-150W
携帯充電 5-15W

冷蔵庫、電気ポット、炊飯器、電子レンジ、ノートパソコン、携帯電話の充電器などの消費電力は1,500W以下ですのでほぼ問題なく使用できますが、それらを同時に使う場合は注意が必要です。例えば、冷蔵庫(消費電力250W)と電気ポット(消費電力1,000W)は同時に使えますが、電気ポットのかわりに電子レンジ(消費電力1,300W)を使うと、合計が1,500Wを超えてしまいます。

あらかじめご自宅にある家電の消費電力を調べておき、どんな組み合わせなら使えるのかをシミュレーションしておくとよいでしょう。

停電時の自立運転機能の使い方

ここからは、自動運転機能を使うための大まかな手順をご紹介します。
自立運転機能では、パワーコンディショナーなどに付属している自立運転用コンセントに電化製品をつないで電力を使用します。停電時に慌てることのないよう、コンセントの位置を事前に確認しておきましょう。また、各手順の細かい操作内容は機種によって異なります。お手元にあるメーカーの取扱説明書を読み、分からない点は販売店や施工業者に問い合わせてください。

1.主電源のブレーカーをオフにする

オンにした状態で気づかないまま停電が復旧し通電が始まると、火事などにつながる恐れがあります。たとえ停電中でも、安全のために主電源のブレーカーは必ずオフにしてください。

2.太陽光発電のブレーカーをオフにする

自立運転機能の使用時は、商用電源の遮断が必要です。電気系統の事故につながる可能性もあるので、取扱説明書に記載がなくても太陽光発電用ブレーカはオフにします。

3.自立運転モードへ切り替える

パワーコンディショナーの再起動、運転スイッチの操作など、自立運転モードへの切り替え方は機種によって異なります。あらかじめメーカーの取扱説明書を確認しておきましょう。

4.自立運転用コンセントに使用する電化製品の電源プラグを差し込む

使いたい電化製品の電源プラグを、自立運転用コンセントにつなぎます。この時、思わぬ事故やけがを防ぐために、接続する電化製品の主電源は必ずオフにしてください。また、長めの延長コードを用意しておくと離れた場所にある大型家電にも電気を供給することができて大変便利です。

停電が復旧したら、通常の運転モードに戻します。ここまでの操作をさかのぼり、「自立運転モードを解除する」→「太陽光発電のブレーカーをオンにする」→「主電源のブレーカーをオンにする」の手順で復帰させてください。
復帰操作をした後は地域によって150秒~300秒ほどの待機時間が入ることがあります。復帰操作をせずに自立運転モードのままになっていると売電ができないので注意しましょう。

5.復旧時の対応

停電が復旧したら、以下の手順で通常の運転モードに戻します。

  1. 自立運転モードを解除する
  2. 太陽光発電のブレーカーをオンにする
  3. 主電源のブレーカーをオンにする

復帰操作をした後は地域によって150秒~300秒ほどの待機時間が入ることがあります。復帰操作をせずに自立運転モードのままになっていると売電ができないので注意しましょう。

停電時に自立運転機能を使う際の注意点

自立運転は災害・停電時の生活を支える優れた機能ですが、使用するにはいくつかの注意点があります。

前述しましたが、まず覚えておかなければいけないのは、電気容量の使用上限が1,500Wであるということ。

そしてもうひとつ、太陽光発電は日照状況に影響を受けるシステムだということです。晴天時は電力を安定して作り出すことができますが、雨天時・曇天時は電力の供給が不安点になり、夜間は発電が停止してしまいます。自立運転機能においても同様で、雨天時・曇天時に家電を接続すると突然電源が切れる可能性があります。発電出力が安定しない時は使用を控えるなどの処置をとりましょう。また、デスクトップ型パソコンや医療機器など電源切断により重大な問題が発生する恐れのある家電は、自立運転機能での使用を避けてください。

さいごに

太陽光発電システムは電気を作り出すだけでなく、停電時の非常電源として使える「自立運転機能」も備えています。いざ必要となった時にすぐ対応できるよう、使うための手順や使用可能な家電などを確認しておきましょう。