太陽光発電と電気自動車は一緒に使うとどんなメリットがある?

  • 太陽光発電の基礎知識

太陽光発電システムを導入している家庭で、電気自動車も購入するというケースが増えています。その理由は両者を組み合わせることで様々な恩恵を得ることができるためです。太陽光発電と電気自動車を一緒に使うとどんなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

太陽光発電と電気自動車は相性がいいってホント?

ガソリン車やディーゼル車に比べて二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物などを排出せず、環境にやさしい車と言われる電気自動車。そのメリットはクリーンエネルギーを使っているということだけにとどまりません。コストパフォーマンスが高く、加速がスムーズで、静音性に優れていること、そして様々な減税や補助金を受けられるのも電気自動車を購入する利点の一つです。

また、電気自動車の燃料となる電気は自宅で作れます。現在、自家発電の手段として日本で最も普及しているのは太陽光発電システムであり、電気自動車と太陽光発電を組み合わせると、それぞれの長所を相互に活かすことができます。

太陽光発電を導入すると自宅で使用する電力を自家発電でまかなうことができます。電気自動車を所有していれば、余った電力を電気自動車に供給して貯めることもできるため、電気自動車の燃料費を大幅に節約することが可能です。

太陽光発電と電気自動車を一緒に使うメリット

太陽光発電と電気自動車の組み合わせで得られるメリットをもう少し詳しく見てみましょう。とくに注目しておきたいのは次の3点です。

太陽光発電の蓄電池として使える

太陽光発電は基本的に太陽光が当たる日中にのみ発電し、その間しか電力を使うことができません。日中に使用せず、余った分の電力は売電という形で電力会社に売却するのが一般的です。しかし、日中に作り出した電力を家庭用蓄電池に貯めておけば、夜間や曇り・雨天の日にも電力を使用できるようになります。この方が売電するよりも効率がよく、そのため太陽光発電と家庭用蓄電池を備えるという家が増えています。

そして電気自動車があれば、車を家庭用蓄電池の代わりとして使用できるようになります。普段は電気自動車を移動手段として使用し、必要なときには同じ車を電力供給源としても活用できるというわけです。

さらに、電気自動車の方が一般的な家庭用蓄電池よりも蓄電量が多い傾向があるのも見逃せないポイントです。家庭用蓄電池の容量は4~12kWh程度で、これに対し電気自動車のバッテリーは10~40kwhと大容量です。

車に使う燃料費を安くできる

電気自動車専用の充電設備を用意すれば、電気自動車への電力供給は家庭で簡単にできます。太陽光発電で作り出した電力でもまったく問題はありません。

ガソリン車が10km走るのに必要なガソリン1リットルの価格は140円前後です(2019年度)。一方、電気自動車が4~10km走るために必要な電気量は1kWhと言われており、太陽光発電の1kWhあたりの売電価格は14円です(2019年度)。太陽光発電で電気自動車の燃料費を作り出せば、車の燃料費を格段に安くできることがわかります。

加えて、太陽光発電の売電価格は年々下がり続けています。売電収入を多く得ようとすると不利な状況とも言えますが、電気自動車の燃料として使用するのであれば売電価格がガソリン代より安くなるほど経済的メリットは大きくなります。

環境保全に貢献できる

クリーンエネルギーである太陽光発電で環境にやさしい電気自動車に燃料を補給するというのは、環境保全に最も貢献できる方法です。

電気自動車自体はクリーンな乗り物ですが、それを動かすための電力を火力発電や原子力発電から得るのは納得がいかないと考える人もいるかもしれません。車を便利に使いながら、車の燃料も自宅で使用する電力も、そのほとんどを太陽光という自然のエネルギーでまかなえるということは、環境保全の観点からみてメリットと言えるでしょう。

太陽光発電と電気自動車を一緒に使うデメリット

一方で太陽光発電と電気自動車を一緒に使うデメリットも把握しておきましょう。以下のような点はデメリットと捉えられます。

電力がたくさん必要になる

電気自動車を使うとその分、ガソリン車を使うよりも多くの電力が必要になります。通勤に加え、買い物やレジャーにも車を使っている人であれば、月800kmくらいは走行していることでしょう。その燃料を太陽光発電で供給していくとしても、電力をその分多く使うことになります。
太陽光発電でつくられた電力は、余れば売電することも可能なので、電気自動車を使うことで必要とする電力が増えてしまう(電力が余りにくくなる)のはデメリットと言えるかもしれません。

ただし、車を使うのであれば、ガソリン車よりも電気自動車の方が燃料費のコストパフォーマンスに優れています。もし余剰売電ができないとしても、家計全体で考えればあまりマイナスにはならないでしょう。

V2H機器の設置が必要になる

電気自動車に太陽光発電の電力を使用するためには、V2H機器の設置が必要になります。とくに太陽光発電を使っているなら「系統連系」のV2H機器の導入が欠かせません。太陽光発電の電力、電気自動車から給電した電力、電力会社から送られる電力を同時に使用可能になり、効率よく便利に電気自動車を活用できます。V2H機器の本体価格は最も安いもので40万円前後、高額なものは300万円という製品もあります。

太陽光発電と電気自動車の組み合わせは今後さらに一般化していくと考えられています。現在、太陽光発電の導入を検討している、もしくはすでに導入しているという場合は電気自動車の併用を考えてみてはいかがでしょうか。