どんな違いがある? ソーラーパネルの種類と特徴

  • 太陽光発電の基礎知識

太陽光発電を導入する際に頭を悩ませるのが、どのようなソーラーパネルを搭載するのかということ。ソーラーパネルというのは、太陽の光を集めて電気に変換する機器のことで、国内外のメーカーがさまざまな種類を作っていて、利用されている種類もさまざまです。それぞれに特徴が異なりますので、太陽光発電を導入する際にはその違いを事前に正しく理解しておくことが大切でしょう。といわけで今回は、ソーラーパネルの種類とその特徴について、詳しく解説していきます。

太陽光パネルの仕組みと構造

地球に優しい次世代エネルギーとして世界中で導入されている太陽光発電。実際に設置して電力を作り出すためにはさまざまな機器が必要で、「太陽光パネル」もそのひとつです。住宅の屋根やカーポートの上、空き地などに太陽光パネルが並んでいるのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
この太陽光パネルは、シリコン結晶をはじめとする半導体で作られていて、この半導体に太陽光が当たると、光エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換される仕組みになっています。また、できるだけ効率よく太陽の光を集められるように、太陽光パネルの表面は青黒い反射防止膜と呼ばれる薄膜で覆われています。
太陽からエネルギーを得ているわけですから、太陽が出ていない夜に発電をすることはできませんし、曇りや雪の日など天気が悪い日には発電量も少なくなります。ちなみに、太陽光パネルは「太陽電池モジュール」とも呼ばれていますが、「電池」と言ってもパネル自体に電力を貯めておくことはできません。

太陽光パネルの3つの分類

太陽光パネルは大きく分けて、「シリコン系」と「化合物系」、「有機系」の3つの種類があります。このうち、住宅用に最も多く使われているのが発電効率に優れているシリコン系で、その次が高温時の出力ロスが抑えられている化合物系です。尚、有機系については実用化されていないため、住宅用に使われることはありません。

シリコン系ソーラーパネルの種類と特徴

住宅用ソーラーパネルのなかでも最も多く使われているシリコン系ソーラーパネルは、以下の4種類に分類することができます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

単結晶シリコン

最初に開発された太陽パネルが、この単結晶シリコンのパネルです。単結晶というのは簡単に言うと「結晶が規則正しく並んでいる」ものを指していて、発電ロスが少ないという特徴があります。他のものと比べて製造コストが高い分、変換効率が高く、性能や信頼性に優れているのが魅力です。ただし、温度の上昇にはあまり強くないため、気温の高い日には変換効率が低下してしまう場合もあります。

多結晶シリコン

単結晶を作る際に発生した端材のシリコンや規格外のシリコン原料を使って作られた太陽光パネルのことです。単結晶のように結晶が規則正しく並んでいるわけではないため、単結晶と比べると発電量が劣るというデメリットがありますが、シリコンの含有量が少ないことから単結晶よりも作りやすくコストも安いのが魅力といえます。そのため、たくさんの太陽パネルを搭載する際に使われることも多いようです。

アモルファスシリコン

特定の結晶構造を持たない「アモルファスシリコン」を使って作られた太陽光パネルです。ガラス、または金属片などの基盤の上に、薄膜状のアモルファスを形成して作るため、変換効率が低いというデメリットがあります。ただし、薄膜状ということで加工性がよく応用性が高いのが特徴です。単結晶シリコンや多結晶シリコンと比べると、気温の高い日の変換効率の低下は抑えられています。

HIT(ヘテロ接合型)

異なる種類のシリコンによって作られたパナソニックが製造する太陽光パネルのことです。単結晶シリコンとくらべると変換効率が高く、高温時の出力低下も少ないという特徴がある一方で、製造方法が複雑なためコストが割高になるというデメリットもあります。

化合物系ソーラーパネルの種類と特徴

シリコン以外の材料を使って作られた「化合物系ソーラーパネル」は大きく以下の2つに分類することができます。では、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

CIS/CIGS

CISというのは銅、インジウム、セレンを原料とする化合物半導体で作られた太陽パネルのことです。これら3つの元素にガリウムを加えたもので作られた太陽パネルを「CIGS」と呼びます。シリコン系のソーラーパネルと比べると圧倒的に低コストで製造ができるため、今後の市場拡大が最も期待されているパネルのひとつです。

CdTe

CdTeはカドミウムとテルルを原料とした化合物半導体で作られた太陽パネルのことです。効率が良く、非常に優れたコストパフォーマンスであるため欧米では普及が進んでいる一方で、有害物質であるカドミウムが含まれていることから、日本国内ではCdTeを製造しているメーカーはありません。

太陽光発電を設置する際には、上記の内容を参考にしてソーラーパネルの種類やそれぞれの特徴を正しく理解したうえで、自宅の環境に適したパネルを選びましょう。