住宅に太陽光発電を設置するとかかる可能性のある税金とは

  • 太陽光発電の基礎知識

太陽光発電を住宅に設置し、売電して所得を得ると税金がかかることがあるのをご存知でしょうか。実際に課税対象となることはさほど多くないのですが、そのためには注意しておくべきポイントがいくつかあります。太陽光発電に関わる税金について解説します。

太陽光発電の設置でかかる可能性のある税金の種類

家庭用太陽光発電を設置することでかかる可能性のある税金には、次に挙げる固定資産税と所得税の2つがあります。

固定資産税

固定資産税は土地や家屋といった固定資産を所有している場合に毎年納付することになる税金です。太陽光発電では屋根と太陽発電システムが一体になっているタイプの製品を設置すると、家と同じ扱いを受けるために固定資産税がかかることがあります。

ただし、その額は1平米あたり200円程度だと言われています。太陽光発電にかかる固定資産税の総額は年間1万円程度に収まることが多いでしょう。

所得税

所得税は、個人の所得に対して課される税金で、所得金額に応じて課税されます。所得金額によって課税される金額は異なり、太陽光発電を使った売電で得た所得(利益)も課税の対象となる場合があります。

太陽光発電で税金がかかる場合の条件とは

太陽光発電に関わる税金として固定資産税と所得税があると述べましたが、一般の家庭が太陽光発電設備を備えたとしても、必ずしもこれらの税金がかかるとは限りません。むしろ、税金がかからないことの方が一般的です。

固定資産税がかかる条件

太陽光発電に固定資産税がかかるのは、屋根と太陽発電システムが一体化しているタイプの場合だと上述しました。例えば新築時に太陽光発電システムを導入する際には、屋根と一体型の設置方法を採用するケースがあります。具体的には「屋根一体型」「建材一体型」などと呼ばれる、屋根材の中に太陽電池セルを組み込んで屋根自体が太陽光パネルのようになっているタイプの太陽光発電です。この場合、太陽光発電が住宅の一部とみなされて固定資産税の課税対象となる可能性が高くなります。また、屋根一体型でない場合でも、10kW以上の売電を行うと対象とみなされます。

固定資産税がかからないのは、売電は10kW未満で、一体型ではなく取り外し可能な太陽光発電システムを設置している場合です。後付けで太陽光発電を導入する際はほとんどの場合、屋根の上に架台を設置してその上に太陽光パネルを設置するタイプの「屋根置き型」などと言われる製品となるため、固定資産税はかからないことが多いでしょう。

ただし、太陽光発電設備に固定資産税がかかるかどうかは、自治体や税務署の担当者の判断によって異なることがあります。太陽光発電設置の際に固定資産税の課税対象となるかどうか、施工会社などと相談して事前にしっかりと確認しておくことが必要です。

所得税がかかる条件

売電によって得られる所得は、税制上「雑所得」「事業所得」「不動産所得」のいずれかになります。家庭用太陽光発電での売電による所得の多くは、「雑所得」に分類されます。
この雑所得に所得税がかかるのは、年間の雑所得が20万円を超えた場合です。

所得は収入とは違い、必要経費を引いた額で計算します。太陽光発電設備は減価償却資産に含まれ、耐用年数である17年は毎年導入費用を17で割った金額を必要経費として差し引くことができます。
住宅用太陽光発電システムの平均的な設置容量は4~5kW程度なので、ある程度の売電収入があっても必要経費を差し引けば、所得が20万円を超えるケースはほとんどないでしょう。

売電収入を得たら確定申告は必要?

売電収入を得ていても、雑所得が20万円を超えていなければ確定申告は必要ありません。

ただし、太陽光発電による売電以外にも雑所得があり、雑所得の合計が20万円を超えていた場合は確定申告をしなければなりません。例えば年金、仮想通貨取引等による利益、副業による所得などが雑所得に当たります。

また、個人事業主の場合はもともと確定申告を行います。その場合は売電で得た所得も申告に含めることになります。

太陽光発電を導入する場合は固定資産税と所得税について考慮する必要があります。サラリーマンが自宅で太陽光発電設備を設置する場合、税金がかからないケースがほとんどですが、屋根一体型の設備にする場合や、売電所得が20万円を超える場合には注意が必要です。上記を参考に太陽光発電に関わる税金について理解しておきましょう。