環境への影響を事前に調査する自然界のヒーロー・環境アセスメント士とは!

  • エネルギーと環境問題

「環境アセスメント士」あまり聞いた事がない資格タイトルではないでしょうか。どういう職業か分かりますか?

これまでにコラムでいくつかの環境の資格や検定をご紹介してきましたが、今回はもっと専門的で実践的な資格です。是非最後まで御覧下さい。

 

環境アセスメント士とは

環境アセスメントは環境影響調査をするという意味で、1997年6月に「アセス法」というものが成立されました。

これは開発事業をする際に、環境への影響調査・予測などを行って自然破壊を防ぐ為の制度です。

つまり、「環境アセスメント士」は事前に対策をする事で環境保全をしつつ、人々の生活を守る自然界のヒーローのようなお仕事です。

 

試験について

今回ご紹介するこの資格は、主に2つの部門に分けられています。

・生活環境部門…廃棄物、温室効果ガス、水環境、土壌環境、大気汚染、

・自然環境部門…動物など生態系、景観、植物

  • 試験内容

※受験申込

毎年7月上旬から10月上旬までであり、試験は毎年11月23日勤労感謝の日に行われます。

※実施場所

東京、大阪、北海道、福岡の全国4会場

筆記試験内容

・業務経験(120分)

各専門とする部門の業務経験・記述式(2400字以内)

・専門知識(120分)

各専門とする部門の技術と知識(40問)

・共通基礎知識、管理技術(90分)

環境アセスメント法制度、手続きなどの基礎知識や環境全般に関する実務技術、倫理問題(10問)

※受験資格

・4年生大学を卒業したのち、環境アセスメント関係の業務を5年以上経験

・大学院修了後、環境アセスメント関係の業務を3年以上経験

・上記以外の場合は、環境アセスメント関係業務を8年以上経験           

 

試験の手続き方法

1・一般社団法人日本環境アセスメント協会のホームページから受験の手引きをダウンロードする

2・受付開始(受験申込)

3・受験票発送

4・筆記試験

5・合否の通知(2月上旬)

受験手数料:12,000円

登録料:15,000円

資格登録をする事で本格的に環境アセスメント士として活動する事が出来ます。

2の受験申込は「受験申込書」「写真票(カラー写真)」「実務経験証明書」の3点が必要です。

 

申込者合格率

 

受験者数

合格者数

合格率

 

生活環境部門

21名

17名

81%

 
 

自然環境部門

25名

19名

76%

 
 

(令和2年度環境アセスメント士認定試験結果より)

図でご紹介しているのは令和2年度の合格率ですが、毎年どちらの部門も平均して合格率が60%を上回っています。

試験内容はアセスメント制度やその手続きに関する内容、環境全般に関する技術や倫理に関する問題など、技術士試験とよく似ており広範囲で出題されます。

ですが試験問題は環境アセスメント協会が発行している『実務研修会用テキスト』より出題されているので、このテキストを読み込んでいれば比較的難易度はそこまで高くない資格と言えるでしょう。

資格試験に合格した人は「環境アセスメント士」の資格登録をJEASに申請する事が出来、登録者は名簿に記載され併せて名前がホームページにも掲載されます。

仕事内容

物を造る技術が年々発展し、今や生活するにも移動するにもとても便利な時代になりましたね。

交通の利便性から道路や空港を新たに建築したり、ダムを造るなど人が豊かに暮らせる開発事業を行う一方で地球環境に大きな影響を与えている可能性があります。

そんな開発事業による環境への影響を防止する為に、環境アセスメント士は事業計画の内容を決めるにあたり、現状の環境調査や今後の予測・それに対する環境保全措置の検討・環境影響評価図書の作成・支援などの実務を行っています。

収入については個々に勤めている企業の雇用条件によって異なりますが、平均して年収は582万円と言われています。

 

 

いかがだったでしょうか。

環境アセスメント士の資格内容や仕事内容についてお伝えしました。

「環境アセスメント士」はクライアントやチームメンバーなど多くの関係者と共同で作業をしなければなりません。

共にゴールに向かってプロジェクトを遂行する為には、高いコミュニケーション能力が必要です。

また、地道な作業や長時間における業務、非常に過酷な環境下で自分自身の身体のコンディションを整え、常にパフォーマンスを発揮し続ける為の精神力も求められます。

一見するととてもハードで大変なお仕事に思えますが、こういった環境は自身のスキルだけではなくキャリアアップにも大きく繋がるものです。

自分の興味のある分野に意欲的に取り組み、世の中を変えたい、動かしたい、未来を守りたいという方には非常にやりがいがあり、転職する上でも大きく可能性の広がる仕事といえます。

 

参考文献

・JAES一般社団法人 日本環境アセスメント協会(環境アセスメント士とは)

https://jeas.org/certification1/