【簡単に解説】温室効果ガスによる影響と対策

  • エネルギーと環境問題

地球温暖化とあわせてよく耳にする、温室効果ガスという言葉。そもそも、温室効果ガスがどういったものなのかよく分かっていない方も多いのではないでしょうか。今回は、温室効果ガスの概要や身近にできる対策を紹介します。

温室効果ガスとは?

大気中には、温室効果ガスと呼ばれる気体が存在しています。温室効果ガスは地球を取り囲んでおり、地球の外へ出ようとする赤外線を取り込む働きがあるため地球の温度は14度前後に保たれています。もし、温室効果ガスがなくなってしまうと、地球の温度はマイナス19度まで下がってしまうといわれています。

温室効果ガスは、地球温暖化の原因と言われており、増えすぎると良くありませんが、地球になくてはならないものなのです。そんな温室効果ガスですが、中にはどんな物質が含まれているのでしょうか。

温室効果ガスの種類

人間の活動によって排出された温室効果ガスには、下記の通り大きく分けて4種類の物質が含まれています。

・二酸化炭素

・メタン

・一酸化二窒素

・フロン類

また、空気中に存在する水蒸気も温室効果があります。温室効果ガスの中でも二酸化炭素が8割を占めており、二酸化炭素がもっとも地球温暖化に影響を及ぼしています。これらの物質は、一体何が原因で排出されているのでしょうか。それぞれの物質の排出経路を解説していきます。

温室効果ガスが排出される原因

様々な原因によって、温室効果ガスは排出されています。

・二酸化炭素…化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の燃焼など

・メタン…農業関連、廃棄物の埋め立て、燃料の燃焼など

・一酸化二窒素…燃料の燃焼、窒素肥料の生産使用など

・フロン類…冷媒、断熱材の発泡剤、半導体の洗浄剤など

前述したとおり、温室効果ガスのうち二酸化炭素が約8割を占めています。世界の国々では、その二酸化炭素をどのくらい排出しているのでしょうか。

世界の二酸化炭素排出量

国別に見た二酸化炭素排出量は以下の通りです。

ランキング上位を見ると、経済活動が盛んな国が出ています。経済活動が大きくなるとその分エネルギーを使うため、二酸化炭素排出量も増えるというわけです。日本は現在5位で、他国に比べると二酸化炭素排出が多いといえます。

順位 国名 排出量 割合
1 中国 9,258 28.2
2 アメリカ 4,761 14.5
3 インド 2,162 6.6
4 ロシア 1,537 4.7
5 日本 1,132 3.4
6 ドイツ 719 2.2
7 韓国 600 1.8
8 カナダ 548 1.7
9 インドネシア 496 1.5
10 メキシコ 446 1.4
11 ブラジル 428 1.3
12 オーストラリア 385 1.2
13 イギリス 359 1.1
14 イタリア 321 1.0
15 フランス 306 0.9
  その他 9,382 28.6
  各国の排出量の合計
(世界の排出量)
32,840  

出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2020年版

*排出量の単位は[百万トン-エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)]

温室効果ガスによる影響

地球に必要不可欠な温室効果ガスですが、増え続けてしまうとどのような影響が出てしまうのでしょうか。様々な影響があると思いますが、一番よく聞く影響が地球温暖化です。

地球温暖化とは温室効果ガスにより地球の気温が上昇している現象です。この地球温暖化によって、気候変動や異常気象、海水温上昇、海面上昇が起きてしまいます。

温室効果ガス削減に向けた取り組み

このまま増え続けると地球に悪影響を及ぼす温室効果ガス。これ以上増えてしまわないように、様々な取り組みがおこなわれています。

世界の温室効果ガス対策

温室効果ガス削減の取り組みとして一番有名なのがパリ協定です。この協定は「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目的を持っており、地球温暖化対策における基本的な方針です。世界各国ではこの目標を達成するために、温室効果ガスの排出削減目標を掲げており、様々な対策を行っています。

日本の温室効果ガス対策

日本もパリ協定に参加しており、いろんな分野で政策を掲げています。例えば、企業や団体の活動より排出される温室効果ガスを実質0にする「カーボンニュートラル」を推奨したり、国民に対して再生可能エネルギーの普及として電気自動車購入の補助金事業を行ったりしています。

身近にできる温室効果ガス対策

私たちが身近にできる温室効果ガス対策はどのようなことがあるでしょうか。いくつか具体例をあげます。

・電気自動車を使用する

電気自動車はエンジンを電気で動かすため、排出ガスをなくしてくれます。昔から販売されていた電気自動車ですが、価格が高く購入するハードルが高い印象でした。しかし、技術の向上により生産コストが低下した結果、昔よりは比較的入手しやすくなっています。さらに補助金がでる場合もあるため、より購入するハードルが低くなりました。

・環境に優しい電気を使う

2016年に電力の自由化がされて以降、多くの企業が電気を販売できるようになりました。電気を買う以外にもメリットがある電力会社も増えてきましたが、その中でも注目したいのが、再生可能エネルギーを提供している電力会社です。再生可能エネルギーとは、化石燃料を使用しない持続可能なエネルギー源から生み出される電気のことです。この電気は作った時に二酸化炭素を排出しない為、環境に優しい電気になっています。提供する電力会社もいくつか存在するため、選択肢も多くなってきています。

・環境対策に取り組んでいる企業の商品やサービスを使う

普段使用している商品やサービスを提供している会社が、環境に対してどんなことをしている会社なのか、気にしたことはありますか。商品やサービスを使用することは、提供している企業を応援することにもなります。つまり、環境対策をしている企業の商品やサービスを使えば、環境対策を行うことになるのです。

以上温室効果ガスについてでした。普段の取り組みで、削減できる温室効果ガスはたくさんあります。日々の行動を見直し、環境に優しい生活を送ってみてはいかがでしょうか。