住宅ローン審査の流れと審査落ちしないためのポイント

  • 住まい購入のポイント

住宅ローンを利用する際にはまず銀行などの金融機関による審査を受ける必要があります。この審査はどのような流れで行われるのでしょうか。また、審査に落ちないためにはどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。住宅ローンの審査について知っておくべきポイントをまとめて、解説します。

住宅ローン審査の流れとかかる日数の目安

住宅ローンの審査には事前審査(仮審査)と本審査という2段階の審査があります。審査の流れと日数の目安は以下のとおりです。

1.事前申し込み

購入する物件が決まって購入申込みをすることになったら、同じ時期に銀行などの金融機関に住宅ローンの事前申し込みをします。現在ではほとんどの金融機関がWebサイトでの事前申し込みを受け付けています

2.事前審査

事前審査の結果が出るのは早い金融機関なら即日、通常は翌日か2日後、遅い場合でも3~4営業日程度です。

3.正式申し込み

事前審査に通ると、物件の売買契約を結ぶと同時に、書類などをそろえて住宅ローンの正式申込みを行います。ネット銀行など以外の、通常の銀行の場合は窓口に足を運んで申し込みをします。

4.本審査

本審査では事前審査よりも詳細かつ厳しいチェックが行われます。審査期間は1~2週間を見ておきましょう。ただ、ネット銀行などではそれよりも早く、3営業日程度で結果が出ることもあります。

5.住宅ローン契約

本審査に通って融資が承認されたら、次は住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)へと進みます。物件引き渡しの前までに融資が実行されるようスケジュールを調整します。未完成の新築物件を購入する場合は、物件引き渡しの1~2ヶ月前に住宅ローン契約を締結することが多いでしょう。すでに完成している場合は、物件引き渡しの3日~1週間前に住宅ローン契約となることが多いようです。

6.融資実行

融資実行は、残金決済(売買契約時に支払う手付金を差し引いた額のお金の決済)の直前のタイミングとするのが一般的です。残金決済が行われると同時に住宅ローンの実行となり、続いて物件の引き渡し(鍵の受け取り)、所有権・抵当権の登記などが行われます。

住宅ローン審査に必要なもの

事前審査では前年分の源泉徴収票のコピー、本人確認書類、物件資料(購入申し込みをする物件のパンフレットや販売図面など)などの提出が求められるのが一般的です。自営業の場合は源泉徴収票の代わりに3期分の確定申告書の控えが必要になるでしょう。ただし、Webでの事前審査では個人情報や収入状況などを自己申告するだけで書類の提出は必要ないという場合もあります。

本審査では必要書類も一気に増えます。住民票、実印と印鑑登録証、源泉徴収票、本人確認書類、納税証明書、不動産売買契約書、重要事項説明書などを提出します。

住宅ローンの審査基準は?

事前審査で見られるポイントは、収入額、勤務年数、会社の規模、家族構成などの情報と、信用情報機関に登録されている信用情報、申し込んだ金融機関との取り引きがあればその取り引き情報などです。大手銀行ではスコアリングシステムと呼ばれる個人の信用度を判断する審査システムを参考にして結果を出すと言われています。

また、審査基準の一つに「返済負担率」があります。これは年収に占める年間返済額の割合のことで、返済負担率が基準を超えると返済負担が大きくなって返済が滞るリスクが高くなります。そのため多くの金融機関が返済負担率「30~35%以内」を基準に定めています。事前審査では借入希望額と収入を見て、返済負担率が基準内に収まっているかどうかもチェックされます。

本審査では事前審査で得られた収入などの情報の詳細が確認されます。また、住宅ローン契約をするときには多くの場合、団体信用生命保険に加入することになるため、申し込み者の健康状態も要件となります。さらに物件の担保価値も審査のための大きな要素となります。様々な条件が検討された結果、マイナス要素が多ければ、たとえ審査には通ったとしても借入額が減らされる、金利が高く設定されるなどの違いが出ることもあります。

審査落ちしないためのポイント

住宅ローンの審査に落ちないようにするためには、次のようなポイントに注意する必要があるでしょう。

頭金を多めに準備する

頭金を多く用意できれば、住宅ローンの借入額を減らすことができます。その分、審査にも通りやすくなります。最近は頭金なしで住宅ローンを組む人も増えていますが、審査のことを考えれば頭金を多く用意した方が有利でしょう。ちなみに頭金が多いと金利が優遇される傾向もあるので、審査に通る可能性が高い場合でも、頭金を多く出すことにはメリットがあります。

転職直後などのタイミングは避ける

勤続年数は住宅ローンの審査において意外に影響の大きい要素となります。勤続年数が短いと収入の安定性が低いとみなされるためです。基準となる年数は金融機関によって異なりますが、最低でも1年以上、多くの場合は3年以上が目安となるでしょう。そのため、現在転職直後のタイミングだという場合は、自己資金を貯めながらあと3年程度は家を買うのを待つ方が良い場合もあります。
もし現在転職を考えているのなら、まず先に家を買ってから仕事を変えるといった選択肢もあります。

クレジットカード支払いの延滞や不要なキャッシング枠などがないか確認する

クレジットカード支払いの延滞は信用情報機関の個人信用情報に傷がつきます。また、現在不要なキャッシングをしている場合はまずそれを返済してから住宅ローンの審査を受けましょう。

見逃しがちなところでは携帯電話・スマートフォン端末の分割払いの滞納も信用情報機関に記録されます。また、税金の滞納は信用情報機関には記録されませんが、住宅ローンの審査では納税証明書を提出することが多く、これもチェックされます。

住宅の購入を検討されている方は、住宅ローン審査の流れをしっかりと把握しておきましょう。審査落ちを防ぐためのポイントも押さえて、対策を立てておくことが重要です。