省エネ・創エネで環境にやさしいスマートハウスとは?

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エネルギーを創り、蓄えながら省エネを実現する「スマートハウス」が注目されています。スマートハウスとはそもそもどのような住宅なのか、その概要や基本的仕組み、メリット・デメリットなどについて解説していきます。

スマートハウスとは?

スマートハウスとは、家庭内の照明、空調設備、調理設備、家電、給湯機器などを、コンピュータやデータ通信といったITを使って管理・制御し、エネルギー消費を最適化する次世代住宅のことです。

しかし、スマートハウスに厳密な定義や必須の機器などがあるわけではなく、実際に設置される装置などは住宅会社によって異なっています。ただ、そんな中でもスマートハウスに欠かせないキーワードとして「HEMS(ヘムス)」があります。HEMSはHome Energy Management Systemの略であり、家庭内で使用される電力、ガス、水道といったエネルギーの消費量や利用状況をパソコンやその他の端末を使って「見える化」し、エネルギー消費を最適化する「制御」を行う役割を担います。

スマートハウスとは、このHEMSと太陽光発電、蓄電池、スマート家電・IoT家電などとを組み合わせて実現する住宅と言ってもいいでしょう。

スマートハウスを構成する設備やシステム

スマートハウスはエネルギーを創る、蓄える、抑えながら使うための設備や機器を設置しているのが一般的です。そのための設備やシステムについて説明します。

エネルギーを創る (創エネ)

創エネは自らエネルギーを創り出すことです。家庭における創エネの代表は太陽光発電システムです。太陽光によって発生した直流電力をパワーコンディショナーで交流に変換し、家庭用の電力として使用します。使用電力量よりも発電電力量が多い場合は電力会社に売電することが可能です。スマートハウスにおいてもこの太陽光発電システムによる創エネを実現しているものが多くあります。

エネルギーを蓄える (蓄エネ)

蓄エネはエネルギーを蓄えておいて、必要なときに取り出して利用できるようにすることです。家庭における蓄エネの代表は家庭用蓄電池や電気自動車です。家庭用蓄電池は太陽光発電システムと併用することで、夜間や悪天候時の買電量を減らし、災害時や停電時でも電気を使えるというメリットをもたらします。また電気自動車の中でもV2H対応車種は蓄電池として利用することができます。

エネルギーを抑える (省エネ)

省エネは、言い換えればエネルギーを賢く使うことです。スマートハウスではHEMSで省エネを実現すると同時に、LED照明、高効率給湯器、高効率エアコンなどの省エネ機器を設置して消費エネルギーを抑えて効率的なエネルギーの活用を実現します。

スマートハウスのメリット

HEMSによってエネルギー消費量を把握し、最適化のための制御機能が備わっているスマートハウスは、電力をはじめとするエネルギーを無理なく節約することができます。様々な省エネ機器もその助けになるでしょう。住むだけで、手軽に省エネができるのはスマートハウスの大きなメリットです。

そして省エネに加えて創エネ、蓄エネもできることで経済的メリットも生じます。とくに太陽光発電と蓄電池の組み合わせでは電力会社からの買電量を減らし、売電量を増やすことができます。スマートハウスによって効率的に収入を得ることが可能です。

また、停電時や災害時にエネルギーを確保できる点も注目されています。これも太陽光発電と蓄電池の組み合わせに代表されるメリットですが、スマートハウスで省エネを徹底しておけば、万一のときにも長期的なエネルギー確保ができて安心でしょう。このメリットを最大限に活かすために、ハウスメーカーや工務店によって耐震・免震・制震などの技術を駆使した災害時に強いスマートハウスが開発されています。

加えて、スマートハウスはクリーンエネルギーを効率的に使用することでCO2排出の削減を実現します。そこに暮らすことで地球環境の保全に寄与できるというのもメリットに挙げられるでしょう。

スマートハウスのデメリット

スマートハウスのデメリットは初期費用が高いことです。HEMSと太陽光発電システム、蓄電池を備えると、これらの機器の費用だけで数百万円かかります。太陽光発電にはメンテナンス費用も必要です。さらに、通常の住宅をスマートハウス仕様にすると、坪単価が10万円程度上がるとも言われています。長期的に見れば経済的なメリットの恩恵を受けられ、10年、20年と暮らしていけば初期費用は回収できるとも言われますが、機器の耐久年数も考えなければなりません。

ただ、様々な補助金を上手に利用すれば、こうした初期費用もかなり抑えることができます。スマートハウスを建てるときには信頼できるハウスメーカーや工務店を選び、売電収入と光熱費のシミュレーションをしっかりと行いましょう。キャッシュフロー計画、補助金の利用までを考慮に入れ、しっかりとしたプランを立てて臨むことが重要です。

創エネ・蓄エネ・省エネを実現し、環境問題への貢献も期待できるスマートハウス。その機能を最大限に活用するためにはメリットとデメリット双方について理解することが大切です。スマートハウスに何を求めるのかを明確にし、十分な計画を練って進めましょう。