ガスと電気。光熱費を節約するならどっちが安い?

  • 省エネ・節電のコツ

給湯設備や調理機器の熱源にはガスが使われるのが当たり前、というのは昔の話。近年では電気を熱源とする商品がシェアを伸ばしており、戸建て住宅で導入される給湯設備においてはその3割が電気給湯器になっているというデータもあるほどです。ガスと電気、それぞれにさまざまな商品がある中で気になるのは、どちらが安く使えるか、そしてどんなメリット・デメリットがあるのかということ。ここではガスと電気のあれこれを比較しながら、その答えを探っていきます。

どっちが安い? ガスと電気の比較方法

ガスにするか、電気にするか。迷ったときに比較されやすいのが給湯器と調理器具です。それぞれにかかる設置費用とランニングコストを比較してみました。

給湯の料金

ガスと電気の給湯機のなかでも省エネ機種として人気の高い「エコジョーズ」と「エコキュート」を比較してみましょう。ガス給湯器エコジョーズは、従来は捨てられていた排気熱を再利用して効率よくお湯を作ります。設置費用は工事費込み15万~35万円で、4人家族の想定年間コストは約6~10万円。

一方、電気給湯器エコキュートは、空気の熱を利用するヒートポンプ原理を用いたシステムで、お得な深夜電力を利用してお湯を作ります。初期費用は工事費込み25万~45万円で、4人家族の想定年間コストは約4~6万円です。初期費用の安さで選ぶならエコジョーズ、ランニングコストの安さならエコキュートになりそうですね。

調理機器の料金

ガスを使用するガスコンロと、電気を使用するIH調理器(クッキングヒーター)を比較してみましょう。設置費用は本体のグレードにもよっても変動しますが、ガスコンロが6万~25万円でIH調理器が15~25万円。4人家族の想定年間コストは、ガスコンロ(都市ガス)が約1万2,500円で、IH調理器が約2万円と言われています。

設置費用に大きな差があるように感じますが、オール電化住宅の普及に伴いIH調理器の本体価格は年々下がっており、リフォームなどを機にガスからIHに替える方もいるようです。

ガスのメリット・デメリット

日常生活に必要な機器を動かすエネルギーをガスにした場合、どんなメリットとデメリットが挙げられるでしょうか?気になる点を挙げてみました。

ガスのメリット

ガスには、地下のガス管を通じて特定のエリアに供給される「都市ガス」と、ボンベに入れて配送されるプロパンガス(LPガス)があります。都市ガスの魅力はなんといっても料金の安さ。エネルギーコストの比較では、深夜電力よりも都市ガスの方が安くなるというデータもあります。

一方、プロパンガスの平均的な料金は都市ガスの約1.7倍と高めですが、家庭ごとに設置されているため、災害時は他のエネルギーより早い復旧が可能です。またガス全体としては、調理で直火が使えて料理が美味しく仕上がる、暖房器具の熱効率がよくすぐに暖まるなどの利点も挙げられます。

ガスのデメリット

ガス機器では直火を扱うため、使用中は火災に注意しなければなりません。また、ガスの燃焼には酸素が使われるため常に換気が必要です。換気が不十分だと新鮮な空気が不足して不完全燃焼となり、一酸化炭素中毒を起こす恐れがあります。さらに何らかの理由で“ガス漏れ”が発生すると、爆発や火災を引き起こす可能性もあります。

最近のガス機器には不具合を防止する安全装置が付いているので安心して使用することができますが、いざという時のためにも危険性は認識しておきましょう。ガスコンロに関して言えば、ヒーター部分がフラットなIH調理器と比べるとお手入れがしにくいというデメリットもあります。

電気のメリット・デメリット

日常生活に必要な機器を動かすエネルギーを電気にした場合のメリットとデメリットをまとめてみました。

電気のメリット

最大のメリットとして挙げられるのは、やはり安全性の高さでしょう。火を使わないので燃え移りによるやけどや火災の心配がありません。特にIH調理器は、近づいたりうっかり触れたりしてもやけどをしにくい構造になっているので、小さなお子さんや高齢の方がいるご家庭には最適です。また、使用中もガスのように二酸化炭素を排出することがないため、お部屋の空気が汚れにくく、換気の頻度も少なくて済みます。

電気のデメリット

停電時に使えなくなることが一番のデメリットと言えるでしょう。自然災害の多い日本において、停電は起こりやすいトラブルのひとつ。地震や津波はもちろん、落雷や積雪、さらにはカラスが電柱に巣を作るなどの些細なことも原因となるため、他のライフラインより停止する可能性は高いと言えそうです。

また、IH調理器は「あおり炒め」や「フランベ」といった技法が使えないため、料理に強いこだわりを持つ方は不満を感じるかもしれません。

必要に応じて契約会社を見直そう

2016年4月から始まった「電力自由化」に続き、2017年4月には「都市ガス自由化」もスタート。それまでは住んでいるエリアの決められた会社からしか買えなかった電気やガスを、自由に選んで買うことができるようになりました。現在では多くの企業が参入しており、電力ではなんと500社以上が競合。新規顧客を取り込むべくさまざまな料金プランを打ち出しています。

選択肢のあまりの多さに戸惑い気味の方もいらっしゃると思いますが、自由化から数年が経過して参入の波が落ち着いてきた今こそがじっくりと吟味するチャンス。それぞれの特色やメリットを比較して契約会社&料金プランを見直せば、光熱費の大幅な削減に繋がります。

設置費用が高いイメージのある電気機器ですが、シェアの拡大と共に価格は下落傾向。お得な深夜電力を利用することでランニングコストも安くなり、ガス機器のシェアに迫る勢いを見せています。あとはそれぞれのメリットとデメリットを理解した上で見直しを図り、光熱費の節約に取り組みましょう。