太陽光発電に適した屋根の向きや勾配は? 発電効率がよくなる設置条件

  • 太陽光発電の基礎知識

太陽光発電を導入するからには、できるだけ効率良くたくさん発電してほしいものです。太陽光パネルは建物や屋根の耐久性がしっかりしてさえいれば、基本的にどんな屋根にでも設置可能ですが、設置する場所や角度などによって発電効率は大きく変わってきます。
では、実際にどのような屋根の形状が太陽光発電に向いているのでしょうか。日本の住宅というのは屋根の形状が実に多様ですので、それぞれの形状の特徴や太陽光発電設置の向き不向きをきちんと理解しておくことが大切です。
というわけで今回は、太陽光発電を設置する際に意識すべき、最適な屋根の仕様や設置条件について詳しく解説していきます。

設置環境による発電量の違い

太陽光発電は設置環境によって発電量に大きな違いが生じます。どんなに高性能の太陽光電池パネルを設置したとしても、設置した場所が悪ければ思うような発電量を得ることはできません。太陽光発電を導入する際には、その点をきちんと把握した上で設置場所に問題がないかを確認しておくことも大切です。
では、実際にどのようなことが発電量に影響するのでしょうか。主なポイントを詳しく見ていきましょう。

日射強度

日射強度というのは簡単に言うと光の強さのことです。単位は「kW/m2」が使われていて、太陽エネルギーの大きさを表しています。日射強度は発電量に比例しているため、日射強度が強い地域では、発電量も多くなるのが一般的です。

日照時間

太陽光発電にとって良い環境というのは「晴れの日が多い地域」ではなく「日の長い地域」、つまり「日照時間」が長い地域です。太陽光発電は晴れの日にのみ発電しているわけではなく、雨が降っていても、曇りであっても発電はしています。もちろん、快晴の日に比べると発電量は少なくなってしまいますが、日照時間が長ければその分発電はしているのです。一方、日が早く落ちてしまう地域では1日あたりの発電量が少なくなってしまいます。

パネルの温度

太陽光発電というと、気温の高い地域の方が発電量は高くなると思われがちですが、実際には気温の高さは太陽光発電にとってマイナスの要素のひとつと言えます。実は、太陽光パネルというのは熱の影響を受けやすく、パネルの温度が上がりすぎてしまうと発電効率が落ちると言われています。特に夏場の気温が高くなる地域では、発電効率が落ちやすく発電量が下がる傾向にあります。

太陽光発電の設置に適した屋根とは?

太陽光発電は基本的にはどんな屋根にも設置することができますが、屋根の条件によって発電効率がアップしたり、反対に思ったような発電量を得られなかったりすることもあるので注意が必要です。では、実際に太陽光発電を設置する場合、どのような屋根が最適なのでしょうか。発電効率の良い屋根の条件について、詳しく解説していきます。

屋根の方角

太陽光発電は照射される光の量が多ければ多いほど発電量も増えます。太陽は昇ってから南を通って西へ沈んでいくことを考慮すると、太陽光発電を設置するには、屋根の方角が真南にあるのが理想的です。

屋根の勾配

太陽光パネルを設置する理想的な屋根の勾配は30度前後と言われていますが、地域によって南中高度が異なるため、最適な勾配も変わってきます。例えば、北海道では約34度なのに対し、鹿児島では約27度、沖縄では17度とかなりの開きが出てしまうのです。

屋根の形状

屋根はその形状によって多くの種類に分類されています。代表的な屋根の形状とそれぞれの特徴は以下の通りです。

切妻屋根

日本の住宅のなかでも最も一般的な形状のひとつで、長方形の2つの屋根が中央で山形に合わさった形を指します。面積が広いため、たくさんの太陽光パネルを設置できるのが特徴です。

寄棟屋根

4つの面が合わさった屋根のことで、住宅密集地に多い形状です。4つの面からできているため、どんな場所に建てられたとしても必ず南面にパネルを設置することができます。

片流れ屋根

1面の屋根が一方向だけに向いている形状です。屋根全体に太陽光パネルを乗せることができますが、屋根の方角が悪い場合には十分な発電量を得られないというデメリットがあります。

陸屋根

傾斜のない水平の屋根のことで、屋根全体に太陽光パネルを乗せられる反面、傾斜をつけられないというデメリットもあります。

太陽光発電を屋根に設置する際の注意点

太陽光発電を屋根に設置する場合には、以下のポイントに気をつけましょう。

重量が耐えられるかどうか

太陽光パネルを乗せるためには、建物自体がその重みに耐えられなければいけません。昔の日本家屋の場合は、瓦だけでもかなりの重みが建物にかかっているため、太陽光パネルを乗せることができないこともあります。

積雪や塩害は大丈夫かどうか

雪の多い地域や海辺の地域では、積雪や塩害に対しても注意が必要です。積雪量によっては発電量が急激に落ちてしまったり、塩害によってシステムの故障やトラブルが引き起こされる場合も。契約を締結する前に、太陽光発電を設置しても通年で問題がないか、必ず確認をとりましょう。

屋根に破損やひび割れなどがないかどうか

屋根に太陽光パネルを一度設置してしまうと、仮に雨漏りなどのトラブルが発生してしまった際、パネルをすべて取り外して工事をする必要があります。その場合手間も費用も多くかかってしまうため、パネルを設置する前に屋根に破損やひび割れなどがないか確認しておくと安心です。もし何か問題が見つかった場合は、事前に修繕工事を行ってからパネルを設置しましょう。

太陽光発電を設置する際には、効率良く発電できるかどうかが重要なポイントになります。上記でご紹介した内容を参考にした上で、導入を検討してみましょう。