太陽光発電と一緒に設置すべき? 家庭用蓄電池のメリットとは

  • 太陽光発電の基礎知識

近年、家庭用蓄電池が注目されています。特に太陽光発電システムと一緒にセットすると大きな節電効果を得ることができ、さらに災害時のバックアップ電源としても役立ちます。家庭用蓄電池が注目されている背景と導入するメリット、選び方などについて解説していきます。

家庭用蓄電池とは?

家庭用蓄電池とは、通常のコンセントから得た電力、あるいは太陽光発電システムの余剰電力などを充電して蓄え、家庭用の電力として使用するための装置です。家庭用蓄電システムとも呼ばれます。

業務用(産業用)の蓄電池はこれまでも使われていましたが、家庭用として使用するには価格が高くサイズも大型すぎるものがほとんどでした。しかし近年、リチウムイオン電池の技術の進歩によって低価格化と小型化が加速。太陽光発電と蓄電システムを連携させることで電気をより効率的に使用するといった需要が高くなったことで、実用的な家庭用製品が市場に出回るようになりました。

現在、人気の家庭用蓄電池は軽量コンパクトで太陽光発電との併用が可能、蓄電容量は4~12kWh、放電時間は10~24時間といったスペックを持つ製品が中心です。設置方法は床置き型、壁掛け型などがあります。

また、「独立型」の家庭用蓄電池は基本的に電力会社による商用電力系統による充電(コンセントやブレーカーを通じた充電)しかできませんが、「連携型」の家庭用蓄電池は商用電力系統と太陽光発電システムのいずれからも充電が可能です。

太陽光発電と家庭用蓄電池を併用するメリット

家庭用蓄電池の導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。太陽光発電と組み合わせて連携型の家庭用蓄電池を使用するという前提で説明します。

夜間や悪天候時の買電を減らすことができる

太陽光発電で電力をまかなえなくなると、電力会社から電気を買電する必要があります。夜間や悪天候時など、太陽光発電では電力が得られないときに蓄電池を利用することで、買電する電力の量を減らすことができます。

最近では、天気予報などの情報から太陽光発電の発電量を予測し、さらに家庭内の電力使用実績から使用量を計算、電気代が最も節約できるよう運用するシステムを備えた家庭用蓄電池も登場しています。

災害時や停電時に電気を使える

地震や台風といった自然災害時、停電時に非常用電源として使用できるのも家庭用蓄電池の大きなメリットです。放電時間が長い製品ほど、停電時に連続して長く使用することができます。

太陽光発電も停電時でも晴天時の日中であれば電力を供給できますが、これに蓄電池をプラスすることで夜間や悪天候時でも電力を得ることが可能になります。ライフラインがストップしても、少なくとも電気に関しては普段に近い状態で使うことができるでしょう。

エネルギー問題の解決に貢献できる

電気代が安い深夜に充電しておき、日中は基本的に太陽光発電でまかなう、さらに夜間の電力ピーク時には充電した電力を使用するといった運用が可能です。

これにより、単に電気料金を最小限に抑えるだけでなく、ピークシフト(電力需要ピーク時における電力消費を抑える)の効果が期待でき、エネルギー問題の解決にも貢献できます。

太陽光発電と家庭用蓄電池を併用するデメリット

一方、デメリットもあります。とくに以下の2点については事前に理解しておきましょう。

初期投資がかかる

太陽光発電と連携できる家庭用蓄電池の価格は、80~150万円といったところが中心です。太陽光発電システムも新設する場合には、設置費用も含めた両者合計で300万円近くかかることもあるでしょう。買電や節電によって得をすると言っても、初期費用がかかることを計算に入れておく必要があります。

ただし、太陽光発電も蓄電池も、国や自治体による補助金制度があるのでそちらもチェックしてみましょう。

経年劣化による交換が必要になる

蓄電池は充電と放電を繰り返すことによって劣化していきます。劣化した場合はリチウムイオン電池や部品の交換が必要です。蓄電池の寿命は使用環境や充電の頻度によって変わりますが、家庭用蓄電池の場合は10年が一つの目安と言われています。

もっとも10年経つと使えなくなるわけではなく、電池の容量が減り、徐々に効率が悪くなっていきます。それでも周囲の電子部品の方が早く劣化する可能性が高く、いずれにしろ修理や交換が必要になるでしょう。

家庭用蓄電池の選び方

家庭用蓄電池は蓄電容量、充電時間、停電時出力などのスペックをよく比較して選ぶことが大切です。

また、寿命も気になるところです。カタログなどでは充放電の回数であるサイクル数が書かれているのでこの数字も比較検討してください。メーカー保証期間は10~15年という製品が多いようです。

さらに、太陽光発電との連携型の蓄電池ではどのような連携機能が備わっているかも理解しておかなくてはなりません。節電機能、停電時のバックアップ電源機能、サイズや設置方式などの中からどれを優先するかを考えながら、最適な機種を選びましょう。

家庭用蓄電池は太陽光発電と一緒に設置することで様々なメリットをもたらします。太陽光発電の設置を考えている、あるいはすでに使っている人は、家庭用蓄電池との併用についても検討してみてはいかがでしょうか。