【シンプル解説】太陽光発電の名義変更申請マニュアル

  • 太陽光発電の基礎知識

太陽光発電を導入する際には、念のため名義変更についても知っておきたいですね。今回は名義変更が必要なケースとその申請方法など、簡単に解説していきます。

名義変更が必要なケース

よくある名義変更が必要なケースは、下記のとおりです。

・事業譲渡(生前贈与も含む)

・競売による事業者の変更

・相続

・戸籍上の氏名変更

・離婚による分与

 

そして、名義変更手続きが必要なケースによって申請する内容が下記の2つに分かれます。

・変更認定申請(固定価格買取期間が終了している場合は卒FIT事前変更届出)

・事後変更届出

ちなみに、名義変更は旧所有者ではなく新所有者が手続きする必要があります。また、名義変更が必要なケースによって申請方法や提出書類が異なりますので、1つ1つ解説していきます。

事業譲渡(生前贈与も含む)

【必要な申請】変更認定申請もしくは卒FIT事前変更届出

太陽光発電が設置されている中古物件を購入した際や、家族などから譲り受ける場合に名義変更が必要になります。

【提出書類】

・譲渡契約書 または 譲渡証明書(原本)

・法人の場合:双方の履歴事項全部証明書(原本)

個人の場合:双方の住民票の写し、住民票記載事項証明書(原本)

または戸籍謄(抄)本(原本)のいずれか

・双方の印鑑証明書(原本)<本籍地の市区町村役場にて発行>

・土地の取得を証する書類等(土地登記簿謄本(原本)、不動産売買/賃貸借契約書等)

・裁判所による破産管財人証明書(破産による譲渡の場合のみ)

※地方自治体等公共機関の場合は上記の書類を発行できないため、代わりに以下の書類が必要となります。(譲渡する側、される側どちらの場合でも必要)

・譲渡契約書 または 譲渡証明書

・公印規程(公的な印鑑についての取り決め書)

・土地の取得を証する書類等(土地登記簿謄本(原本)、不動産売買/賃貸借契約書等)

※太陽光パネルは、建物附属設備として認められているものではないため、事業譲渡の際は、建物と別に明示することが必要です。

競売物件による事業者変更

【必要な申請】変更認定申請もしくは卒FIT事前変更届出

太陽光発電が設置してある競売物件を購入した際などに必要となります。

【提出書類】

・物件目録(不動産競売のための資料)

・登記嘱託書(権利証)または登記識別情報通知書(登記後に交付される通知書)

※競売物件を農地転用する場合で、上記の書類が添付できない場合は、

「売却決定通知書」または「最高価買受申出人であることの証明」が必要です。

相続

【必要な申請】事後変更届出

太陽光発電の所有者が亡くなった場合に必要となります。

【提出書類】

・被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本(原本)

(附票を含む、附票がない場合は住民票の除票でも可)

・法定相続人全員の戸籍謄本(原本)

※代用として法務局より発行された法定相続情報(原本)でも可

・法定相続人全員の印鑑証明書(原本)

・遺産分割協議書または相続人全員の同意書

※太陽光パネルは、建物附属設備として認められているものではないため、相続の際は建物と別に明示することが必要です。

戸籍上の氏名変更

【必要な申請】事後変更届出

所有者の姓が変わったときなどに必要となります。

【提出書類】

・戸籍謄(抄)本(原本)

・印鑑証明書(原本)

離婚による分与

【必要な申請】事後変更届出

離婚し、財産分与した際に所有者が変わった場合、必要となります。

【提出書類】

・登記簿謄本(所有権移転登記済)(原本)

・公正証書または離婚協議書

・双方の印鑑証明書(原本)

・離婚届受理証明書

※太陽光パネルは、建物附属設備として認められているものではないため、分与の際は、建物と別に明示することが必要です。

注意点

・公的機関の発行する書類については、3カ月以内に発行された原本を提出する必要があります。

・登記簿謄本については、登記事項要約書または一般財団法人民事法務協会がWEB上で行っている登記情報提供サービスからのデータの写しは認められません。

申請の流れ

太陽光発電の容量が50kW未満の場合と50kW以上の場合で申請方法が異なります。

50kW未満の場合

50kW未満の場合は、インターネットにて電子申請が可能です。インターネット環境がなく電子申請ができない場合の申請方法もあわせて紹介します。

「再生可能エネルギー電子申請」にアクセス

②新所有者の新規ユーザー登録をおこなう

③旧所有者のユーザーIDでマイページにログイン

④内容に沿って入力

⑤必要書類をPDFまたはZIP形式にて添付し登録

⑥⑤旧所有者へ内容確認メールが送信されるので指示に従い承認してもらう

⑦旧所有者の承認後、申請代行機関により経済産業局へ申請が行われる 

 

※インターネットでの電子申請が困難な場合の申請方法

「こちら」より申請書類をダウンロード

②申請書類に必要情報を記入する

③記入した申請書類と必要書類、返信用封筒を同封しJPEA代行申請センターへ郵送

50kW以上の場合

50kW以上の申請は郵送でおこないます。

①申請書類をダウンロード

②申請書類に必要情報を記入

③記入した申請書類と必要書類、返信用封筒を同封し、発電設備の設置場所の都道府県を管轄する経済産業局へ送付

 

※申請書類のダウンロードが困難な場合

返信用封筒を下記住所へ送ると申請書類を返送してもらえます。

〒105-0003

東京都港区西新橋2丁目23番1号 3東洋海事ビル2階

JPEA代行申請センター「新制度移行手続き係」

 

FAX機能付の固定電話をお持ちの方は、FAXサービスから入手することも可能です。

03-6711-4026に電話の上、案内に従ってボタンを押して、FAXから印刷

 

各経済産業局の情報はこちら

JPEA代行申請センターの情報はこちら

申請方法など詳しくは経済産業省のマニュアルをご覧ください。

あわせて確認したい手続き

太陽光発電の名義を変更しただけでは、のちのち問題となってくることがあります。下記のことについても、あわせて確認をしておきましょう。

・売電名義、振込口座 【申請先】電力会社

発電した電力を電力会社に売電している場合は、その名義と売電料金の振り込み先を変更する必要があります。

・保険の加入 【申請先】保険会社

火災や自然災害など、太陽光発電への損害をカバーするために旧所有者が保険に加入している場合があります。保険は引き継ぐことができないため、新たに契約し直す必要があります。

・メーカー保証 【申請先】メーカー、販売店

設備に不具合が起こった場合に適用になる保証があり、多くのメーカーで10~15年ほどの保証期間があります。メーカーによっては、名義変更ができない場合もありますので、確認しておくと良いでしょう。

・メンテナンス契約の名義 【申請先】契約しているメンテナンス業者

太陽光発電では定期的なメンテナンスが義務付けられています。太陽光発電購入時にメンテナンス契約をしている場合があります。

・申請代行業者

名義変更の申請は個人でおこなうことも可能ですが、必要書類の不足や確認項目が多いため、手続きに時間がかかってしまうこともあります。個人での申請が難しい場合や不安な点が多い場合は、代行業者に依頼することをオススメします。

・固定価格買取制度

太陽光発電の名義変更をした場合でも「買取価格」は最初に事業認定を受けた年の金額が適用になります。「買取期間」も同様に、名義変更をしたからといってリセットされるのではなく、事業計画認定を受けた年からの残年数となります。

・税金

生前贈与を受ける場合、贈与を受けた側が贈与税を納める必要があります。しかし、祖父母から子・孫へ贈与する場合は「緑の贈与」という制度により非課税限度額が加算される場合もありますので、確認しておきましょう。

まとめ

今回は太陽光発電の名義変更について解説しました。時間も手間もかかるので、可能な限りあらかじめ準備をしておくことが大切です。後からトラブルになってしまうことのないよう、しっかり確認しておきましょう。