3Rのその先へ ~アップサイクルが描く未来への挑戦~

  • エネルギーと環境問題

持続可能な未来への関心がますます高まっていますが、そんな未来を作るために、3Rの次の方法として注目されるのがアップサイクルです。今回は、このアップサイクルの基本から実例まで紹介します。

 

アップサイクルとは?

リサイクルプロセスの一形態で、本来であれば廃棄される材料や製品に付加価値をつけて、高品質で価値のあるものに変えるプロセスのことです。

例えば、古いジーンズを利用してバッグを作るなどがアップサイクルに該当します。大量消費、大量生産のサイクルは、国内資源の枯渇を早めるばかりか、環境破壊により地球温暖化を加速させる大きな要因になります。持続可能な社会を構築する上でも、アップサイクルは新たなプロセスとして注目されています。

アップサイクルとニュアンスの似た言葉にダウンサイクルというものがあります。ダウンサイクルは、アップルサイクルの逆の概念を表す言葉で、古い材料や製品を再利用する際に、それらの元々の品質や価値を低下させ、あらたな製品に展開するプロセスです。

ダウンサイクルは、元の材料や製品の劣化により、高品質なものに戻すことが難しい場合に活用されます。例えば、古紙を利用して再生紙を作る場合、元の紙の質は低下することがあるます。

 

3R(リデュース、リユース、リサイクル)との違いは?

アップサイクルによって生み出される製品は、元の価値を向上させる必要があります。対照的に、3Rのリユースとリサイクルは、廃棄物を再利用するという点では共通していますが、重要な違いがあります。リユース、リサイクルの場合、廃棄物から有用な要素を取り出し、新しい材料や製品に再利用することで元の価値は下がります。例えば、古着を雑巾に変えるなどです。

さらに、リサイクルにおいては、古紙から再生紙を製造するなど、廃棄物を新たな材料に変える際に多くのエネルギーが必要となり、環境への負荷がかかることに加え、これらの製品は、将来的には再び廃棄物として処理されることとなります。

一方、アップサイクルは、資源をより効果的に再利用することを目的とし、素材や製品の特徴を最大限に生かして新たな価値を持たせます。素材や製品をありのまま活かすため、リサイクルと比較して環境への負荷が大幅に軽減されます。

 

企業の取り組み現状

廃棄に比べ、アップサイクルへの取り組みはコストが上昇する傾向にあります。しかし、それでも企業が取り組むことには大きな理由があります。それは、年々脱炭素化への取り組みが本格化する中、投資家だけでなく一般消費者も企業の社会的な活動には大きな関心を寄せているためです。環境問題に積極的であるか否かは、企業イメージを大きく左右し、企業業績にも大きく影響する一因となります。こうした背景もあり、アップサイクルを実施することで、企業は環境に配慮した取り組みを強調することができます。

 

新たな価値で新たな役割を!

アップサイクルにより、元の製品からは想像がつかない程、実に様々な製品が誕生しています。その一例をご紹介します。

 

PLASTICITY (プラスティシティ)

日本では年間約1.2億~1.3億本の傘が消費され、そのうちの6割にあたる約8000万本がビニール傘をはじめとする使い捨て傘です。株式会社モンドデザイン社では、「10年後になくなるべきブランド」をコンセプトとした「PLASTIC」を立ち上げ、廃棄されるビニール傘のビニール部分を取り外し、防水性や汚れに強いといった特性を活かしたバッグにアップサイクルしました。

 

anela (アネラ)

ワインの消費量が多い東京では年間約1億5000万本ものワインコルクが廃棄されています。anelaではアップサイクルやリサイクルで作られたインテリアでコーディネートし提案しています。商品の一つとして、再生コルクと再生陶器から作られたペット用ボウル。コルクの台座が滑り止めの役割となり、食事中にボウルがひっくり返ることを防いでくれます。

コルクの台座のうえの陶器もリサイクル珪土を使用しています。

 

Upcycle by Oisix (アップサイクル バイ オイシックス)

世界中で廃棄される食糧は年間約13億トン。そんな食材をアップサイクルし地球と身体にやさしい新しい食を広げていく食ブランドです。これまで使われていなかった・食べられていなかった・捨てられてしまっていた食材を使い、フードロス削減に繋がる商品を届けています。もちろんパッケージも環境にやさしい素材を使用しより地球にやさしい食を提供しています。

 

SUSTAINABAG (サスティナバッグ)

世界中のナチュラル&オーガニックコスメを取り扱うブランド「コスメキッチン」が開発したのがこちら。100%海洋プラスティックゴミからできたリサイクルポリエステルフィラメント糸で作ったエコバッグです。海には年間約800万トンものゴミが流れ着きその75%が海底に沈んでいるといわれていますが、リサイクルポリエステルフィラメント糸ごとに海底から1キロのゴミを除去することが可能。サスティナバッグが街で溢れるほど海洋環境の改善になり、海の生き物たちが暮らしやすくなります。

 

身近な素材でアップサイクルにチャレンジ!

空き缶やガラス瓶をアップサイクル

お洒落な空き缶やガラス瓶、捨てるのが勿体ないなと思ったことはありませんか?

空き缶をそのままプランターにするのも良いですし、自分の好きなように塗装をしてオリジナルなプランターに変身させるのもおすすめです。水性塗料を使用すればご家庭でも簡単に塗装することができます。ガラス瓶をフラワーベースにしたり、ポンプをつけてハンドソープ入れなどにも活用できます。

コーヒーの出がらしやティーバッグをアップサイクル

コーヒーの出がらしは脱臭効果があることで注目されています。

使い終わったコーヒーの出がらしやティーバッグを十分乾燥させトイレや下駄箱の中に置いておくと脱臭剤となります。濡れた状態だと脱臭効果は同様にありますが、カビが生えてしまうことがあるので、しっかりと乾燥させるのがおすすめです。

着なくなった洋服をアップサイクル

サイズアウトしたTシャツはエコバッグに、しっかりとした厚手の素材のデニムはポーチにしたりと、調べると意外と簡単に変身さることができます。

お気に入りだったけどもう着れない洋服が捨てられない方も多いと思います。

ぜひ新しいものへアップサイクルしてみてください。

 

まとめ

今回は「アップサイクル」について解説しました。今回ご紹介したアップサイクルな商品以外にも様々なアップサイクルな商品があります。次に何かを新調する際にはアップサイクル商品を取り入れてみてはいかがでしょうか?

そして、何かを廃棄する際には、この空き箱はおもちゃ入れになるかな?ペットボトルをDIYしたら植木鉢やペン立てできるかな?と遊び心をもって想像してみてください。

新しいアイデアや視点を取り入れることで、より環境に優しいライフスタイルを実現できるでしょう。これからの日常生活で、少しの創造力と遊び心を加えて、アップサイクルを実践してみましょう。

 

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