事前に把握しておきたい! 太陽光パネルを撤去する方法と費用について

  • 太陽光発電の基礎知識

太陽光発電を使い始めたら、太陽光パネルをはじめとする設備を撤去する日が来ることも考えておく必要があります。気が早いと思うかもしれませんが、太陽光パネルは設置するのと同様に撤去作業も手間がかかり、処分する際も粗大ごみとして扱うわけには行きません。太陽光発電設備や太陽光パネルを撤去する方法と費用について解説します。

太陽光発電設備は「産業廃棄物」

一般家庭の屋根に設置されている太陽光発電設備を撤去し、処理するときは産業廃棄物として扱われます。

太陽光発電設備は、主に太陽光パネル(太陽電池モジュール)、パワーコンディショナー、接続箱、変電設備などで構成されています。これらの中でもとくに太陽光パネルには鉛、セレン、カドミウムといった有害物質が含まれていることがあるため、適切に処分する必要があります。一般的に太陽光パネルは、産業廃棄物の種類としては、「金属くず」「ガラス・コンクリート・陶磁器くず」「廃プラスチック類」の混合物に該当します。太陽光パネル以外の架台、パワーコンディショナー、接続箱、その他の電子機器類などは粗大ごみとなります。

産業廃棄物は撤去後、排出者が廃棄法に基づいて責任を持って処理しなければなりません。排出者とは法律上の「ごみを出す人」のことです。太陽光発電設備を撤去するときはまず、誰が排出者となるのかがポイントとなります。

太陽光発電を撤去する方法

太陽光発電設備を撤去するときは、以下の3つのパターンによってその方法が異なります。それぞれの流れと撤去方法を説明します。

太陽光発電の寿命、不具合・故障で取り替える場合

太陽光発電システムに不具合や故障が発生して設備を撤去し、取り替えるケースです。また、今後は太陽光発電の設備を20~30年使い続け、太陽光パネルが寿命を迎えて撤去する家庭が多く出てくると考えられます。

これらの場合は、太陽光発電システムの設置をした施工会社か販売会社が設備撤去を行います。製品の不良などが原因で撤去した場合の排出者はメーカーです。それ以外の原因で撤去した場合は、撤去を担当した施工会社もしくは販売会社が排出者となります。

いずれにしろ、太陽光発電の所有者は施工会社か販売会社に連絡を取り、撤去を依頼することになります。また、転居で太陽光発電設備を撤去する場合もこれに準じます。

家の建て替えやリフォームで撤去する場合

家の建て替えやリフォームに伴って太陽光発電設備を撤去する場合は、通常、解体業者が撤去作業を行い、同時に排出者となります。

したがって太陽光発電の所有者は解体業者に撤去と処分を依頼するのが一般的です。解体業者は設備を撤去後、太陽光パネルについては産業廃棄物の中間処理業者に処分を依頼することになるでしょう。

事故や災害で太陽光パネルが破損した場合

事故や災害で太陽光パネルが破損した場合は、上記とやや事情が変わります。単に破損しただけなら「不具合・故障で取り替え」と同じですが、太陽光パネルが地上に落下していた場合は太陽光発電の所有者自身が排出者となって廃棄することになります。

完全に屋根から落下した状態の太陽光パネルは産業廃棄物ではなく、法律上は一般廃棄物として扱われます。この場合、廃棄の方法は自治体によって異なるため、まずは住んでいる市区町村の廃棄物担当窓口に相談して廃棄方法の指示を受けましょう。ただし、太陽光パネルは粗大ごみなどとして自治体に回収してもらうことはできません。通常は「使用済み太陽光パネルの回収・再資源化サービス」などを行っている専門業者に処分を依頼することになるでしょう。

また、太陽光パネルは故障しているように見えても電気が通っていることがあり、安易に触れると感電や怪我の危険性があります。その場から撤去する際も自分で行うのではなく、施工会社など太陽光発電設備を扱う業者に依頼しましょう。

太陽光発電を撤去するときの費用の目安

撤去と処分を施工会社や販売会社に依頼する場合は、下記の費用がかかります。

撤去にかかる費用

太陽光パネルなどを撤去する際は作業費、人件費、足場代がかかります。作業費は「パネルを取り外して屋根から下ろす」費用ですが、人件費と込みで10万円ほどかかるでしょう。足場代の相場は1㎡あたり700円~1000円です。30坪の2階建ての家の場合なら15~20万円ほどでしょう。

合計すると安くても20万円以上、30万円前後になることもあるでしょう。一般的には設置時と同等の費用がかかると言われています。また家屋をそのまま使い続けるのであれば、プラスして屋根の修復費が必要です。部分補修なら数万円~30万円、葺き替えまでするとなると100万円前後になることもあります。

処分や運搬にかかる費用

次に処分費と運搬費がかかります。処分費は、例えば回収・再資源化サービスを行っている専門業者に依頼すると、単結晶ソーラーパネルの重さ18㎏以下の場合、1枚あたり1,200円程度で処分してもらえます。太陽光パネルが10枚なら12,000円ほどかかることになります。運搬費は処分場までの距離によって変わります。

太陽光パネルはリサイクルや売却できるの?

太陽光パネルは最終的に中間処理業者によって産業廃棄物として処理されます。ガラスなどはリサイクルに回され、それ以外の廃棄物は埋め立てに使われることが多いでしょう。環境省は今後起こるとされる太陽光発電設備の大量廃棄に備えて、リサイクルの推進に向けたガイドラインを制定しています。

また、それとは別に、太陽光パネルの買取を行っている業者も存在しています。太陽光パネルは未使用品から中古品、故障品、さらにパワーコンディショナー、架台、電子装置やケーブルなどの関連部材まで買い取っている業者もあるようです。ネットで検索すれば多くの買取業者を見つけられるでしょう。

太陽光発電設備や太陽光パネルは転居や災害など、予想外の事情で撤去や処分を行う必要性が生じるものです。太陽光発電システムを導入したら、いつか設備を撤去することも頭に入れつつ運用していきましょう。