SDGsに大幅貢献!?栄養素もたっぷり!?  ミラクルツリー「モリンガ」って?

  • エネルギーと環境問題

「奇跡の木(ミラクルツリー)」と呼ばれる”モリンガ”という植物をご存じでしょうか?

モリンガはバランスのとれた栄養素があるだけでなく、脱炭素などの環境問題の解決にも貢献できると言われています。そんなモリンガは一体どのような植物なのかを詳しく説明します。

そもそも「モリンガ」って?

近年、スーパーフードとして注目が集まっているモリンガですが、正式名は「ワサビノキ」。「モリンガ」は属名で、タミル語の「murungai(ムルンガイ)」に由来すると言われています。可食植物で、日本で食材として扱われる際は「モリンガ」と呼ばれることが多いです。

インド北西部のヒマラヤ山脈南麓が原産で、熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されており、温帯である日本では自生していません。種子や挿し木から増殖させることができ、成長も速いです。ただ、水はけが悪いと根腐れしやすく、日光や高温を好むため、特に乾燥地域での栽培に適していると言われています。

脱炭素に貢献!

SDGsに関連付けて注目を浴びているモリンガですが、その理由の一つに「二酸化炭素(CO2)の吸収率が高い」ことが挙げられます。二酸化炭素は、地球温暖化の原因と言われている温室効果ガスのひとつで、植物は光合成の際に二酸化炭素を吸収します。

 

モリンガ樹木1本で年間約110kg~160㎏の二酸化炭素を吸収していると言われています。なんとこれは、一般的な杉の約14倍~20倍!

 

例えば、ヒトの呼吸で排出する二酸化炭素は年間約320kg。これを一般的な杉で吸収しようとすると植えてから10年以上の木が20本ほど必要なのに対して、モリンガは2年以上の木が2本ほど必要です。比べてみると、その差は歴然。モリンガは、二酸化炭素の吸収率も成長スピードも驚異的であることがわかります。

モリンガはスーパーフード!

モリンガはその栄養素の高さから「ミラクルツリー」と呼ばれることもしばしば。

 

種や根を含む全ての部分において高い栄養素を持ち、90種類以上の栄養素と46の抗酸化物質があり、カルシウム・ポリフェノールや必須アミノ酸・ビタミン類(ビタミンA、B1、B2、C)など人間に必要な栄養素をバランスよく含んでいます。それだけでなく、亜鉛やカリウム、食物繊維やたんぱく質なども含まれており、一般的な野菜や果物に比べると豊富な栄養素になっています。

 

非常に多い効能があり、インドの伝統医学アーユルヴェーダでは「300の病気を予防する薬箱」とも呼ばれています。

特に効能があると言われているのが、便秘改善や不眠改善、貧血の改善やアンチエイジングなど。しかし、挙げた効能はほんの一部で、他にも様々な効能があると言われています。食材としてだけでなく、粉末にして薬としても利用されています。

また、2007年に国連の世界食糧計画(WFP)に採用され、貧困地域の栄養失調対策に有効な食品として認定。特に授乳中の母親や幼児の栄養失調防止に有効とされて、乾季(他の食料が不足しやすい)でもきちんと育つため、熱帯・亜熱帯の飢餓に苦しむ人々の食物として注目を集めています。

 

どのように活用されている?

日本では主に健康食品として活用されているモリンガですが、さまざまな活用方法があるとされています。

こちらはまだ研究段階となりますが、モリンガを練りこんだ布をつかった服の製造の試みが行われています。モリンガを使うことで抗菌作用・消臭効果が期待できるそう。

また、肌に優しいとされており、服のせいで肌が荒れることを防ぐ効果もあるそうです。

モリンガの種には機能性タンパク質が含まれており、これによって水の浄化が可能です。

汚い川の水を、モリンガの種を用いたフィルターで浄化すると90%以上のバクテリア除去と、コレラ、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの食中毒原因菌への強い抗菌作用があるという実験結果も。

つまり、高い水浄化システムがなくとも、人間が飲めるほど綺麗に不純物を除去して水を浄化できるのです。

このような浄化作用を使い、アフリカ大陸の南東にある国マラウイの水をキレイにするプロジェクトも現地で立ち上がっています。これが成功すれば綺麗な水が手に入りにくい地域の人々に、手軽に安全な水を届けられるようになるそうです。

モリンガは、葉をパウダー状にしたものを摂取するのが主流です。その理由としては、収穫後の劣化が早いため。パウダーにすると、ビタミンCは失われてしまいますが、そのほかの栄養素はそのまま。

むしろ水分量が減ることで15倍ほど濃縮され、効率よく栄養を摂り入れることが可能になります。ちなみに、古くからモリンガを食べている地域では、葉をそのまま料理に使ったり、実をカレーに入れたりしているそうです。

 

 企業でもモリンガの植林が活発に!

このようにたくさんのメリットがあるモリンガ。実は、日本企業でも植林が活発になりつつあります。

2022年6月、リーブ21は関西SDGsプラットフォーム公認「共育分科会」と連携し、「沖縄の本土復帰50周年」を機に、沖縄県国頭郡今帰仁村で3000本のモリンガを植林したそう。温室効果ガスの削減を目的とし、自社の削減ビジョンの元、カーボンニュートラルを2025年までに実現することを目標としています。

また、京都府精華町で自社管理している農園でもモリンガの植林をスタートしていて、大きく育てた後、鉢植えにして本社内に移し、本社社員の非エネルギー基礎排出量のカーボンニュートラルに挑戦するそうです。既に大阪市内の本社内で熱帯に自生するモリンガの越冬の実証試験に成功しており、今後の動きにも注目が集まっています。

 

まとめ

たくさんの良いところがあるモリンガですが、日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。

知名度が上がることで、植林が進み、より数が増えると考えられます。植林プロジェクトに参加してみたり、食に摂り入れてみたりするのもいいかもしれませんね。

モリンガだけでなく、自分に合った環境問題への向き合い方をひとりひとりが模索していくことが大切です。