世界の近未来=「スマートシティ」!?

  • エネルギーと環境問題

近年、目にしたり耳にしたりする機会が多い「スマートシティ構想」。都市開発構想のひとつですが、実際にはどういったものかご存じでしょうか?

詳しく・分かりやすく説明していきます。

スマートシティ構想というのは一体・・・?

「スマートシティ」という言葉を聞いて、皆さんはどういったイメージを持たれるでしょうか?

なにもかも自動化されている都市?インターネットが重要なカギ?「スマート」な「シティ」だから賢い町・・・?どちらも正解です!スマートシティの定義としては、国土交通省が以下のように示しています。

 

「都市の抱える諸課題に対して、ICT※等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」

 

※ICT=インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー

通信技術とそれを活用したコミュニケーションのこと。情報処理だけでなくインターネットなどの通信そのものと、ICTを活用したサービス、そしてサービスを提供する企業や産業も含めてICTといわれている。

 

身の回りのあらゆるものが通信テクノロジーでつながることで、社会問題の解決に結びつき、未来がよりいいのものになるのではないかと言われています。

 

例えば

 

・オートマチック化による人手不足の解消(自動決済など)

・自動運転による渋滞防止

・遠隔カメラでの高齢者や子どもの見守り

・ロボットでの農作業自動化

・監視システムで水位を確認することで洪水などの災害の予防

・GPSを活用し、災害の予想や復旧作業の迅速化    など

 

既に普及し始めているものもありますが、こういったことがさらに解決されると、より住みやすく快適になることが予想できます。

「スーパーシティ構想」もある!?

「スーパーシティ構想」も都市開発構想のひとつです。スマートシティと似た響きになりますが、どういった違いがあるのでしょうか。

 

スーパーシティ構想は2030年に実現されると予想されている未来都市を先行して実現することを目指した都市開発構想になります。位置づけとしてはスマートシティがスーパーシティを包括。

一体どのようなものかというと、スーパーシティ構想は「AIやビックデータを活用し、社会をまるごと未来都市にすること」と定義づけされていて、「最新技術でそれぞれ地域の困り事を解決していこう」という計画になります。

 

スマートシティが「都市活動を支える機能の効率化」や「技術の活用」という点を定義づけしているのに対し、スーパーシティは「住民目線」で、「困り事・心配事の解決」など「すまいの快適さなどに影響を及ぼす周囲の状況の整備」が定義として考えられています。

 

技術目線・手段ベースであるのがスマートシティ、住民や暮らしを意識し、目的としているのがスーパーシティ、ということになります。

 

また、定義だけでなく内容も異なっています。

スーパーシティは、自治体をまたいでも各サービスを同じように使うための土台である“都市OS※”という概念を導入していこうという考えですが、スマートシティでは各自治体が独自に技術を開発・利用し、サービスを提供しようという考えになっています。

つまり、スーパーシティ構想は、日本全体で課題をひとまとめにして、新技術で解決しようという内容になります。

 

都市OS=地域の枠を越え、サービスを協賛したりや各都市における成果を水平展開するための仕組み

注目・必要とされる背景

スマートシティ構想が実現すると、利便性が向上するだけでなく、先に述べたように多くの社会問題が解決できるのではないかと言われています。

 

東京都の人口比率は非常に高く、継続的に上昇しています。ほかの国を見てみても、似たような動向はほとんどありません。人口の増加に伴って起きている問題については、ニュースでも多く取り上げられているため、知っている方も多いのではないでしょうか。たとえば、通勤ラッシュ等決まって発生してしまう交通渋滞や、病院での長い待ち時間、待機児童問題、など。

都市では人口密集に伴う問題が多い一方で、地方では過疎化に伴う人手不足などが問題になっています。このような課題を解決できると、日本が抱えている問題の大部分が解決に繋がるため、大きな期待が寄せられています。

実際に導入されたら・・・?

生活の質が向上する

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務(リモートワーク)に切り替わった方も多く、通勤に使っていた時間を自分や家族のために使うことで、生活がより豊かになったのではないでしょうか。

スマートシティ構想が実現すれば、さらに時間を有効活用し、行動に対する常識も変化するのではないかと期待されています。

 

例えば

 

・自動運転車両の普及により、安全に目的地へ行くことができる(免許の有無にも縛られない)

・病院を訪問することなく、自宅でリモート診療ができる。(待ち時間もなく、薬も配送)

・通学不要で、授業や習い事を好きな場所で受けられる。

 

既に生活に取り入れられている事案もありますが、更に普及が進むと、時間や場所の制約が減り、生活の質を高めるために活用できるでしょう。

経験の充実

生活の向上だけでなく、経験的な活動に利用することも可能です。

例えば、海外では下記のようなサービスが注目され、普及が進んでいます。

 

・すべての交通手段による移動を、ひとつのサービスでシームレスに完結させるMaaS(マース)→交通手段の手配が苦手でも遠方旅行がしやすくなる

・アプリで同行者を募り、車に相乗りする「ライドシェア」→交通費が安くなり、お金・移動の制約が減る

 

こういったサービスは、ICT技術が普及しているスマートシティならたやすいです。

ひとりひとりのアクセス能力が上がれば、自然とヒト・モノ・コトに出会う機会が増え、さまざまな技術革新が起こりえるのではないでしょうか。

制約が少なく自由に行きたいところに行けるようになったら、どんなところに行ってみたいですか?

日本での普及事例

日本でも多くの自治体で、実証が進められています。

交通

地方では、バスや電車の運行数が少なく、自家用車を交通手段の拠り所としている方がほとんど。そんな中、運転が難しい高齢者や障がい者の方は、買い物や通院といった生活に必要な移動ができずに生活がしづらいのが現状です。

 

それらを解決するためのサービスが各自治体で始まっています。

 

広島県東広島市では「オンデマンドバス」を採用。

一番の特徴は、従来のバスと異なり、決まったルートを運行しないこと。

“MONET”というアプリを利用し、日時や乗降場所を指定した予約することで、乗客のニーズにあわせて運行する学期的な仕組みになっています。

 

京都府(精華町と木津川市)の「けいはんなプロジェクト」では最寄り駅から目的地までの徒歩移動に不便を感じる人のために、シェアサイクルを設置。それにより利便性をあげる実証実験を2019年に行いました。観光地で公共交通機関が比較的充実している京都でも、最寄り駅から目的地までの移動がつらいという声が多く上がったことがきっかけだといいます。

環境

実はスマートシティ構想は、環境問題に関する取り組みとして2000年ごろにスタートしました。そのため再生可能エネルギーの普及や、ゴミ削減・資源活用などの解決も期待されています。

 

神奈川県藤沢市は、慶応義塾大学とアプリを開発。その名も「みなレポ」。これはゴミ収集の改善のためにつくられたアプリです。ゴミ収集車に、センサーとドライブレコーダーをつけ、アプリにデータを送ることで、職員がゴミの状況を把握し、迅速な処理が可能になる仕組みです。

 

さらに、福島県会津若松市では「つなぎ続くまちへ」をコンセプトに、東北地方で唯一採択となったデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、ICT技術を活用した持続可能なまちづくりを推進しています。農産物の生産情報と飲食店や宿泊施設の需要を引き合わせる需給マッチングサービスがスタートしており、遠隔医療も充実し始めています。この他にもさまざまなサービスを提供しており、今後も多くの展開が期待されています。

みなさんが住んでいる地域でもスマートシティ構想の実証が開始されているかもしれません。自治体のHP等を確認し、実際に利用していくことで、需要が示され、より快適なまちづくりにつながることでしょう。ぜひチェックしてみてください。

 

経済

経済活動の効率化・活性化も有望視されています。

 

人手不足が深刻化している地方の農業分野の問題解決のために導入され始めた「スマート農業」

「e-kakashi」はソフトバンクが開発したアプリで、田畑に設置したセンサーから情報を取得するというもの。

栽培・環境データを集めて解析することで、農作業の効率化や生産量・品質の向上が見込まれ、負担を減らすことができます。また農作業の引継ぎまでも効率化が可能になりました。

 

まとめ

みなさんの身の回りには解決したい問題はありますか?もしかすると数年後には、それらも解決されているかもしれません。それくらい近年の技術の発展は目まぐるしいです。

海外に比べると、まだまだ実例が少ない日本ですが、今後導入される地域が増えていくことでたくさんの問題が解決され、私たちの生活の質がさらに向上するでしょう。

今後の展開が楽しみですね!