再生可能エネルギーとは?メリットや種類、特徴

  • エネルギーと環境問題

2015年に採択されたパリ協定。気候変動という環境問題に対しての国際的な協定で、分かりやすく言い換えると世界の気温上昇を2度未満に抑えようという取り組みです。日本もこの協定に参加しており、2030年までに遂行する温室効果ガスの削減目標などを掲げています。

そして、この目標の達成に向けてキーポイントとなるのが「再生可能エネルギー」です。

再生可能エネルギーとは

そもそも再生可能エネルギーって何?

2009年7月1日にエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律が定められました。この法律では非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永久的に使用することができると認められているエネルギーを再生可能エネルギー源として定めています。簡単に言い換えると原油や可燃性ガスや石炭(これらを化石エネルギー源といいます。)ではないエネルギー源のうち、資源がなくならないエネルギーのことを再生可能エネルギー(以下再エネと表記します。)として定めています。

再エネの特徴とは?

再エネには特徴が3つあります。

まず1つ目はエネルギー源が枯渇しないことです。法律でも定めていた通り、再エネは資源が永久に枯渇しないことを前提としています。例えば、非化石エネルギー源に分類される原子力はウランを必要とするため、再エネには該当しません。再エネは主に太陽や水、風といった自然をエネルギー源としているため、永久に使用が可能です。

 

2つ目は、温室効果ガスを排出せずに電力を生み出せることです。化石エネルギー源で発電する場合、燃料を焼却するため大量の温室効果ガスを発生させます。対して、非化石エネルギー源はエネルギー自身が持つ、熱や動力によって発電を行うため温室効果ガスを発生させません。東日本大震災以降、原子力発電を反対する動きが高まった影響で日本では温室効果ガスの排出量が増加しています。再エネでの発電量が増えれば、それに伴い温室効果ガスの排出を減らすことができるため、ニーズが高まっています。

 

最後に3つ目は基本的にどこでもエネルギー源を調達できることです。先ほども説明した通り、再エネは主に太陽や水、風といった自然のエネルギーに由来しています。そのため基本的に場所を選ばずにエネルギー源を調達することができるのです。

 

では再エネを使って発電する際にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

再エネのメリット・デメリット

再エネのメリット

再エネによるメリットとしては下記のようなものがあります。

 

  • 永久にエネルギーを生み出せる
  • 温室効果ガスの排出量が少ない
  • 資源が尽きず、どこでも調達しやすい
  • 化石エネルギーの際に出ていた廃棄物(有害物質や放射性廃棄物など)が発生しない
  • 比較的施設設計が容易で、修理時も安い

 

最大のメリットはやはり資源が枯渇しない為、永久にエネルギーを生み出せる点ではないでしょうか。現在使用している化石エネルギーは主に過去から積み重なってきた動物や植物の死骸などからできています。この資源は数年でできるものではない為、使用すれば使用するほどなくなってきてしまいます。そうしたことから、資源が尽きない再エネに注目が集まっているのです。

再エネのデメリット

デメリットは下記のようなものがあります。

 

  • 電機器の導入にコストがかかる
  • 天気などによって発電量にムラができるものが多い
  • 大規模な運用が難しく、供給の際に価格が高くなりやすい

 

最大のデメリットは再エネを使用した発電機器の導入に時間とお金がかかることです。年々技術の発展により、以前に比べると時間とお金はかからなくなってきていますが、まだ課題が残っているのが現状です。また発電方法によっては季節や天候、設置する環境によって発電量が左右されるなど、安定した発電に関しても課題があります。

 

再エネの特徴などに関してはわかっていただけたかと思います。具体的にはどのような発電方法があるのでしょうか。

再エネの種類

再エネには種類があります。良く耳にする再エネの種類は以下の通りです。

 

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 地熱発電
  • 水力発電
  • バイオマス発電

 

どれも発電方法に特徴があるため、それぞれにメリット・デメリットがあります。

一つずつ詳しく解説いたします。

 

太陽光発電

2022年12月、東京都では条例で新築戸建てへの太陽光発電パネルの設置が義務化されました。このように一番身近な印象がある発電方法ではないでしょうか。

太陽光発電は、太陽電池に太陽光エネルギーをあてることによって電力を生み出します。

太陽光がエネルギー源になるため、日が当たりさえすれば場所を選ばずに発電することが可能です。現在では産業用だけではなく、住宅用としての発電方法として普及が進んでいます。屋根や壁にあるデッドスペースを有効活用できる点や災害時にも使用できるなどの理由から住宅用の太陽光発電も人気になりつつあります。構造がシンプルなため、メンテナンスが比較的簡単であることもメリットのひとつです。

デメリットは、やはり天候によって発電量にムラつきが出てしまう点や、設置費用が高い点などになります。

 

風力発電

太陽光発電の次に思い浮かべることが多い、広い土地や海上などで見かける発電方法です。風車を使って風のエネルギーを運動エネルギーに変換し、その力で電力を生み出します。

再エネの中でもエネルギー変換効率が高く、規模によっては火力発電並みの発電コストの削減が可能です。また、使用するエネルギーが風のため、環境(陸上、洋上)や時間(日中、夜間)を問わずに発電することができます。

ただ、風の状況により、発電量が左右されるため常に安定した発電量にならないことがデメリットです。また、台風などの暴風には弱く、施設が破損する恐れも。

 

地熱発電

日本には多くの活火山存在し、地下に熱(蒸気)を持っている地熱地帯が数多く存在します。これらの地熱エネルギーを使用し蒸気や熱水でタービンを回す発電を地熱発電といいます。

エネルギーの特性上24時間安定した発電量を確保することができ、また発電に使用した蒸気や熱水を農業にも活用できる汎用性が特徴です。また、日本が持つ地熱発電に利用できるエネルギー量は世界で3番目に多く、豊富な資源があるためことから今後の発展に期待されています。

デメリットとしては、発電設備を作るための調査や開発に大きなコストがかかることや、立地地区に温泉などの施設がある地域と重複するため、関係者との調整が必須であることなどが挙げられます。

 

水力発電

日本は水資源に恵まれていることもあり、ほかの発電方法に比べて昔からある発電方法です。

ダムを利用した大きなものや、河川や農業用水、上下水道を利用した中小規模の物など幅広く活用されています。発電方法はシンプルで、水の流れや落下の運動エネルギーを電力に変える方法です。ノウハウがたくさんある点、安定的かつ数十年といった長期間使用できる点など、優れた面を多く持っています。水流や水量をコントロールすることで、発電量も操作することができます。

デメリットは、建設の際に周辺の自然環境などに大きな影響を与えることです。例えばダムを建設したことにより、近隣の海では魚の収穫量が大幅に減ってしまったということもあったそうです。また、降水量が極端に減ってしまうと、発電量にも影響が出てしまいます。

 

バイオマス発電

バイオマスとは動物や植物などのから生まれた生物資源です。この資源を燃焼やガス化させることにより発電するのがバイオマス発電です。

発電時に二酸化炭素を排出しますが、カーボンニュートラルであるため、再エネとして認められています。現在では開発が進み、家畜の糞尿や生ごみなどの今まで廃棄されていたものも資源として利用することが可能です。資源さえ確保できれば安定した発電量が確保できるのもメリットのひとつです。

ただ、資源がさまざまな地域に分散しているため、収集や管理にコストがかかってしまい、大規模な設備を作ることが難しい点はデメリットと言えるでしょう。

 

 

主要な発電方法は以上の通りです。冒頭で説明した通り、再エネは現在もっとも注目されている取り組みです。環境を大切にすることはもちろんですが、日本にとってはそれ以外に重要な役割があります。

 

再エネの必要性

ほかにも取り組む理由。それは日本のエネルギー自給率の向上です。現在の日本は発電に使用するほとんどの資源を海外からの輸入に頼っている状況です。ここ数年、海外でのエネルギー資源需要は年々高くなっており、資源を入手することが困難になりつつあります。

このことから、日本では常に生産可能な発電資源を獲得する為にも、再エネの開発に力を注ぐことになったのです。技術の発達により導入コストが減少した結果、年々普及率は上がってはいますが、目標とする数値にはまだ十分ではない状況です。

 

ではこのような課題がある中で、私たちが家庭でもできる発電方法は何があるでしょうか。

家庭でも行える再エネの発電方法

先ほどの解説からお気づきの方もいるかとは思いますが、家庭で一番取り組みやすい発電方法は太陽光発電です。近年では住宅用発電用の設備コストも下がりつつあり、中には実質負担なしで取り付けられるサービスも出てきています。電力の売電価格が年々減っていることもあり、投資目的ではできないとの声を聴くこともあります。しかし、今後の電力価格の上昇が予想されていることから、自家発電自家消費の住まいが増えていることも確かです。

 

太陽光発電の導入について詳しくは「導入前に押さえておこう。太陽光発電を設置するまでの手順と流れ」をご参照ください。

 

再エネは今後生活の一部として浸透していくエネルギーです。近い未来私たちの生活と深くかかわる再エネについて、ぜひ注目してみてください。